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楽美術館「茶碗 肌 ぬくもり」 茶碗の肌はゴツゴツ。ザラザラ。 ブツブツ。ツルツル。

目次

楽美術館夏期展は、「茶碗 肌 ぬくもり」

夏の京都、行こう。
酷暑の中、楽美術館にやってきました。

夏期展のテーマは「お茶碗の手触り」

ゴツゴツ。ザラザラ。
ブツブツ。ツルツル。

樂茶碗は、ろくろを使わず「手びねり」
という技法でつくる。
人の手で形づくるから
硬さのない
柔らかいお茶碗になる。

ヒルネ
ヒルネ
楽美術館は、スマホ撮影OK。
実物の素晴らしさに遠く及ばないですが、
備忘録としてお楽しみください。

「茶碗の肌」
ゴツゴツ。ザラザラ。
ブツブツ。ツルツル。

黒楽茶碗 銘:初雪 田中宗慶(そうけい)

トップバッターは、「初雪」
楽家の家祖・田中宗慶が
60歳でつくったお茶碗。

肌理の細かいカサッと乾いた肌。
手にすっぽりと馴染むカタチ。

「初雪」という銘のとおり、
触るとひんやりしそう。

京都の暑さを和らげる
粋な展示でした。

赤楽茶碗 4代 一入(いちにゅう)

次は、不思議な茶碗。
一見、黒楽のようだけど・・・

ヒルネ
ヒルネ
赤楽茶碗?
黒楽茶碗に見えるよ?

茶碗の内側を見ると、
「赤い」肌色。

・・・?

赤楽茶碗の土を使って
造られたけれど、
釜の中で黒っぽく渋い色に
焼き上がったそう。

外は黒楽、内側は赤楽。
偶然から生まれた
不思議なお茶碗。

黒楽平茶碗 銘:古池 五代 宗入

大ぶりの平茶碗。

お抹茶の熱を冷ます
平たい茶碗。

夏には熱いお茶でも
涼しげに感じるように。

ザラッと触り心地がよさそう。

白楽茶碗 銘:祇女 六代 左入(さにゅう)

今回唯一の「白楽茶碗」。

ひび割れのように見える
「貫入(かんにゅう)」が
白い茶碗全体に入っています。

ヒルネ
ヒルネ
スマホでは上手に撮れないな・・。
実物は貫入がきめ細かくて、
ツヤツヤと艶めいてます。
銘の「祇女」は、平家物語に登場する白拍子(当時の遊女)
有名な白拍子姉妹で、姉の祇王 (ぎおう) は
平清盛の寵愛をうけた。

有名な白拍子の名前がついたお茶碗。
なるほど、艶やかなわけだ。

ちなみに、姉の“祇王”のお茶碗は赤楽茶碗だ。
角張ったシルエット、貫入が入ったところは
うりふたつです。

 

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燒貫井戸形茶碗 9代 了入(りょうにゅう)

遠目からだと、銀色に鈍く光っている。

異質な肌の「焼貫」と言われる焼き方で、
こんなざらざらな肌になる。

焼貫とは
真っ赤に燃えた炭や炎を直接あてる製法。

間近で観ると、
ザラザラと無骨なまでに
剛健なお茶碗だった。

このお茶碗で
深緑のお茶が点てられたら
また違う景色が生まれるだろう。

黒楽茶碗 銘:木下 3代 道入(どうにゅう)

ツルツルとした光沢のあるお茶碗。
ぴたっと手の中に収まるカタチ。

口あたりが柔らかそうな
かわいいお茶碗。

箱書きも一緒に展示されていた。
「ノンコウ作 黒茶碗 木下」

ヒルネ
ヒルネ
素直な箱書きで、
わたしでも読めた(^。^)

三代目の別名「ノンコウ」って、
カタカナなのか。

当時カタカナが普及してたんだな。
・・・など考えた。

赤楽茶碗 銘:連山 14代 覚入(かくにゅう)

粟立つ肌の赤楽茶碗。

プツプツ。プチプチ。
釉薬に混ぜられた細かい砂が
焼きあがると粟立つ肌になる。

お湯を通すと、茶碗の肌が変化するそうだ。

重厚な茶碗たち

白釉葵御紋写茶碗 7代長入(ちょうにゅう)

ヒルネ
ヒルネ
控えおろう。
「葵の御紋」がはいったお茶碗なるぞ。

徳川家の葵の御紋が
くっきりと描かれている。

千家が紀州徳川家初代をおもてなしするために
3代道入に造らせた茶碗を
7代長入が写しを造ったのがこちら。

(もともとのお茶碗は今、
表千家が所蔵しているそうだ。)

楽茶碗の出来は、偶然の要素が大きいらしいし、
「写し」はどれくらい似ているんだろう。

両方並べて、展示してくれないかしら・・・。

 

団子之絵黒楽筒茶碗 11代 慶入(けいにゅう)

一見重厚なお茶碗にみえますが、
楽家の「団子3兄弟」茶碗。

団子の中に、楽の印がおされています。
楽しそうなお茶碗だ。

焼貫楽茶碗 銘:雁来紅(がんらいこう) 13代 惺入(せいにゅう)

斬新な赤茶碗。

13代惺入のオリジナルの表現だそう。
明治に生まれた惺入が
継承前の若い頃に造った茶碗。

楽茶碗は、一子相伝でありながら、
歴代や親の真似をせず
オリジナルを生みだすことを求められる。

焼貫のザラザラ感に
情熱が込められている。
そんな気がした。

15代・16代 吉左衛門のお茶碗

ルビニャック茶碗 15代 直入(じきにゅう)


つい先日まで、15代吉左衛門だった先代。
代替りして、「直入」という隠居名に。
※佐川美術館の写真をお借りしました。

15代が2009年にフランスの
ルビニャック村で造ったお茶碗。

自由闊達にこころを遊ばせたような色使い。

ツルツルした肌と、
ザラッとした肌が同じお茶碗に生息している。

アバンギャルドで愉しそうなお茶碗だった。

黒楽茶碗 惣吉造 16代吉左衛門

令和元年に代替りしたばかりの16代。
まだまだお若い。

※新聞社の画像をお借りしました。

楽家の長男は「惣吉」を名乗るしきたり。
「惣吉造」とは、襲名前のお茶碗ですね。


手にすっぽりと収まりそうな小ぶりなお茶碗。
ツヤツヤの肌は手のひらに吸いつきそうだ。

飲みくちも柔らかそうで、
優しいお茶碗だと感じた。

作品の隣の説明書きには
こんなことが書かれていた。

楽家の釜は、年に数回。
一碗ずつ削るか、手で茶碗を作るので、
一度の釜で3碗できるか、できないか。

孤独で・・・
過酷な道程だ。

令和のご当主の道程はまだ始まったばかりだ。

楽焼きの「土」と「炭」がズラッと並ぶ

楽焼きでも、使う「土」「炭」は
様々な種類を使い分けているそう。

驚きだったのが、楽家代々が「土」を集めてきた歴史。
15代ご当主が使っているのは
100年以上前に収集された土。

将来の子孫のために
「土」を集めて遺していく。

土を寝かせることも、遺産なんだなぁ。

美術館内のお花もしっかり観たい

館内のお花は、15代吉左衛門さんが
活けているという噂。
ホントかな。
代替りした今はどうなんだろう。

毎回お花も素敵で、じっくり観るべしです。

待合室のお花

ツヤツヤの竹筒に
さりげなく活けられた夏の花たち。

2階階段脇のお花

素朴な野菊がどっさりと活けられている。

こういうカタチの壷に
お花を生けるのは難しい。

なるほど、こういう風に
バサーッと無造作に活けちゃうといいな。

地下1階階段脇のお花

ここにも可憐な野菊。

茶花は野にあるままに活ける。

そんな風に活けられたらいいな。

楽美術館は、京都の隠れスポット

楽美術館は、すばらしいお茶碗を間近でじっくり堪能できる。
京都で美しいモノをひっそり鑑賞したいなら、
ここである。

地下鉄「今出川駅」から歩いて10分。

入り口でスリッパに履きかえるのも
おうちにお邪魔するようで面白い。


「質感」にフォーカスした2019年の夏期展も
ユニークで面白かった。
秋期特別展も楽しみだ。

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過去のこの展覧会も良かったなー。

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ヒルネ
ただいまセミリタイア中。 やりかったことをすることで、自分のこれからを模索中。 カゴ編み、ひとりめしを研究中。おばあちゃん犬のシズカと暮らしてます。

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