目次
楽美術館夏期展は、「茶碗 肌 ぬくもり」
夏期展のテーマは「お茶碗の手触り」
ゴツゴツ。ザラザラ。
ブツブツ。ツルツル。
樂茶碗は、ろくろを使わず「手びねり」
という技法でつくる。
人の手で形づくるから
硬さのない
柔らかいお茶碗になる。
実物の素晴らしさに遠く及ばないですが、
備忘録としてお楽しみください。
「茶碗の肌」
ゴツゴツ。ザラザラ。
ブツブツ。ツルツル。
黒楽茶碗 銘:初雪 田中宗慶(そうけい)
トップバッターは、「初雪」
楽家の家祖・田中宗慶が
60歳でつくったお茶碗。
![](https://i0.wp.com/hirunenikki.com/wp-content/uploads/2019/08/hatuyuki.jpg?resize=542%2C386&ssl=1)
肌理の細かいカサッと乾いた肌。
手にすっぽりと馴染むカタチ。
「初雪」という銘のとおり、
触るとひんやりしそう。
京都の暑さを和らげる
粋な展示でした。
赤楽茶碗 4代 一入(いちにゅう)
次は、不思議な茶碗。
一見、黒楽のようだけど・・・
![](https://i0.wp.com/hirunenikki.com/wp-content/uploads/2019/08/IMG_3594-2.jpg?resize=567%2C355&ssl=1)
黒楽茶碗に見えるよ?
茶碗の内側を見ると、
「赤い」肌色。
・・・?
赤楽茶碗の土を使って
造られたけれど、
釜の中で黒っぽく渋い色に
焼き上がったそう。
外は黒楽、内側は赤楽。
偶然から生まれた
不思議なお茶碗。
黒楽平茶碗 銘:古池 五代 宗入
大ぶりの平茶碗。
![](https://i0.wp.com/hirunenikki.com/wp-content/uploads/2019/08/IMG_3598-2.jpg?resize=580%2C310&ssl=1)
お抹茶の熱を冷ます
平たい茶碗。
夏には熱いお茶でも
涼しげに感じるように。
ザラッと触り心地がよさそう。
白楽茶碗 銘:祇女 六代 左入(さにゅう)
今回唯一の「白楽茶碗」。
![](https://i0.wp.com/hirunenikki.com/wp-content/uploads/2019/08/IMG_3609-2.jpg?resize=587%2C336&ssl=1)
ひび割れのように見える
「貫入(かんにゅう)」が
白い茶碗全体に入っています。
実物は貫入がきめ細かくて、
ツヤツヤと艶めいてます。
有名な白拍子の名前がついたお茶碗。
なるほど、艶やかなわけだ。
ちなみに、姉の“祇王”のお茶碗は赤楽茶碗だ。
角張ったシルエット、貫入が入ったところは
うりふたつです。
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燒貫井戸形茶碗 9代 了入(りょうにゅう)
遠目からだと、銀色に鈍く光っている。
![](https://i0.wp.com/hirunenikki.com/wp-content/uploads/2019/08/IMG_3614-2.jpg?resize=580%2C638&ssl=1)
異質な肌の「焼貫」と言われる焼き方で、
こんなざらざらな肌になる。
![](https://i0.wp.com/hirunenikki.com/wp-content/uploads/2019/08/IMG_3615.jpg?resize=514%2C686&ssl=1)
間近で観ると、
ザラザラと無骨なまでに
剛健なお茶碗だった。
このお茶碗で
深緑のお茶が点てられたら
また違う景色が生まれるだろう。
黒楽茶碗 銘:木下 3代 道入(どうにゅう)
![](https://i0.wp.com/hirunenikki.com/wp-content/uploads/2019/08/IMG_3674-2.jpg?resize=571%2C398&ssl=1)
ツルツルとした光沢のあるお茶碗。
ぴたっと手の中に収まるカタチ。
口あたりが柔らかそうな
かわいいお茶碗。
箱書きも一緒に展示されていた。
「ノンコウ作 黒茶碗 木下」
![](https://i0.wp.com/hirunenikki.com/wp-content/uploads/2019/08/IMG_3671.jpg?resize=554%2C413&ssl=1)
わたしでも読めた(^。^)
三代目の別名「ノンコウ」って、
カタカナなのか。
当時カタカナが普及してたんだな。
・・・など考えた。
赤楽茶碗 銘:連山 14代 覚入(かくにゅう)
粟立つ肌の赤楽茶碗。
プツプツ。プチプチ。
釉薬に混ぜられた細かい砂が
焼きあがると粟立つ肌になる。
![](https://i0.wp.com/hirunenikki.com/wp-content/uploads/2019/08/IMG_3721-2.jpg?resize=573%2C558&ssl=1)
お湯を通すと、茶碗の肌が変化するそうだ。
重厚な茶碗たち
白釉葵御紋写茶碗 7代長入(ちょうにゅう)
「葵の御紋」がはいったお茶碗なるぞ。
![](https://i0.wp.com/hirunenikki.com/wp-content/uploads/2019/08/IMG_3635-2.jpg?resize=580%2C399&ssl=1)
徳川家の葵の御紋が
くっきりと描かれている。
千家が紀州徳川家初代をおもてなしするために
3代道入に造らせた茶碗を
7代長入が写しを造ったのがこちら。
(もともとのお茶碗は今、
表千家が所蔵しているそうだ。)
楽茶碗の出来は、偶然の要素が大きいらしいし、
「写し」はどれくらい似ているんだろう。
両方並べて、展示してくれないかしら・・・。
団子之絵黒楽筒茶碗 11代 慶入(けいにゅう)
一見重厚なお茶碗にみえますが、
楽家の「団子3兄弟」茶碗。
![](https://i0.wp.com/hirunenikki.com/wp-content/uploads/2019/08/IMG_3628-2.jpg?resize=546%2C422&ssl=1)
団子の中に、楽の印がおされています。
楽しそうなお茶碗だ。
焼貫楽茶碗 銘:雁来紅(がんらいこう) 13代 惺入(せいにゅう)
![](https://i0.wp.com/hirunenikki.com/wp-content/uploads/2019/08/IMG_3626-2.jpg?resize=572%2C340&ssl=1)
斬新な赤茶碗。
13代惺入のオリジナルの表現だそう。
明治に生まれた惺入が
継承前の若い頃に造った茶碗。
楽茶碗は、一子相伝でありながら、
歴代や親の真似をせず
オリジナルを生みだすことを求められる。
焼貫のザラザラ感に
情熱が込められている。
そんな気がした。
15代・16代 吉左衛門のお茶碗
ルビニャック茶碗 15代 直入(じきにゅう)
つい先日まで、15代吉左衛門だった先代。
代替りして、「直入」という隠居名に。
※佐川美術館の写真をお借りしました。
![](https://i0.wp.com/hirunenikki.com/wp-content/uploads/2019/08/IMG_3658.jpg?resize=563%2C751&ssl=1)
15代が2009年にフランスの
ルビニャック村で造ったお茶碗。
自由闊達にこころを遊ばせたような色使い。
![](https://i0.wp.com/hirunenikki.com/wp-content/uploads/2019/08/IMG_3657-3.jpg?resize=575%2C433&ssl=1)
ツルツルした肌と、
ザラッとした肌が同じお茶碗に生息している。
アバンギャルドで愉しそうなお茶碗だった。
黒楽茶碗 惣吉造 16代吉左衛門
令和元年に代替りしたばかりの16代。
まだまだお若い。
※新聞社の画像をお借りしました。
![](https://i0.wp.com/hirunenikki.com/wp-content/uploads/2019/08/raku16dai.jpg?resize=280%2C164&ssl=1)
楽家の長男は「惣吉」を名乗るしきたり。
「惣吉造」とは、襲名前のお茶碗ですね。
手にすっぽりと収まりそうな小ぶりなお茶碗。
ツヤツヤの肌は手のひらに吸いつきそうだ。
飲みくちも柔らかそうで、
優しいお茶碗だと感じた。
![](https://i0.wp.com/hirunenikki.com/wp-content/uploads/2019/08/IMG_3696-2.jpg?resize=557%2C505&ssl=1)
作品の隣の説明書きには
こんなことが書かれていた。
孤独で・・・
過酷な道程だ。
令和のご当主の道程はまだ始まったばかりだ。
楽焼きの「土」と「炭」がズラッと並ぶ
楽焼きでも、使う「土」「炭」は
様々な種類を使い分けているそう。
![](https://i0.wp.com/hirunenikki.com/wp-content/uploads/2019/08/IMG_3659-1.jpg?resize=570%2C428&ssl=1)
驚きだったのが、楽家代々が「土」を集めてきた歴史。
15代ご当主が使っているのは
100年以上前に収集された土。
将来の子孫のために
「土」を集めて遺していく。
土を寝かせることも、遺産なんだなぁ。
美術館内のお花もしっかり観たい
館内のお花は、15代吉左衛門さんが
活けているという噂。
ホントかな。
代替りした今はどうなんだろう。
毎回お花も素敵で、じっくり観るべしです。
待合室のお花
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ツヤツヤの竹筒に
さりげなく活けられた夏の花たち。
2階階段脇のお花
素朴な野菊がどっさりと活けられている。
![](https://i0.wp.com/hirunenikki.com/wp-content/uploads/2019/08/IMG_3709.jpg?resize=578%2C771&ssl=1)
こういうカタチの壷に
お花を生けるのは難しい。
![](https://i0.wp.com/hirunenikki.com/wp-content/uploads/2019/08/IMG_3708-2.jpg?resize=573%2C682&ssl=1)
なるほど、こういう風に
バサーッと無造作に活けちゃうといいな。
地下1階階段脇のお花
ここにも可憐な野菊。
![](https://i0.wp.com/hirunenikki.com/wp-content/uploads/2019/08/IMG_3700-2.jpg?resize=576%2C702&ssl=1)
茶花は野にあるままに活ける。
そんな風に活けられたらいいな。
楽美術館は、京都の隠れスポット
楽美術館は、すばらしいお茶碗を間近でじっくり堪能できる。
京都で美しいモノをひっそり鑑賞したいなら、
ここである。
![](https://i0.wp.com/hirunenikki.com/wp-content/uploads/2019/08/IMG_3566.jpg?resize=490%2C653&ssl=1)
地下鉄「今出川駅」から歩いて10分。
入り口でスリッパに履きかえるのも
おうちにお邪魔するようで面白い。
「質感」にフォーカスした2019年の夏期展も
ユニークで面白かった。
秋期特別展も楽しみだ。
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過去のこの展覧会も良かったなー。
![](https://i0.wp.com/hirunenikki.com/wp-content/uploads/2018/11/IMG_6563-2.jpg?resize=320%2C180&ssl=1)