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女性作家のサドマゾ文学
・・・と期待していたら
マルキド・サドは全然エロくなかった。
エグいだけだった。
サドにはガッカリした。
じゃあ「O嬢の物語」はどうだろう?
「O嬢の物語」はエロい。
そして深かった。
マゾヒズムのエロってこうなのか。
未知の世界を教えてもらった。
『O嬢の物語』あらすじ
ある日女流ファッション写真家のOは、
恋人ルネにロワッシーの城館へ連れて来られる。
ロワッシーでは18世紀風のドレスに
首輪・腕輪を身につけた女性たちが
複数の男の共有性的玩弄物となる。
男たちは「鞭打」などで女性たちを心身共に調教するのだ。
恋人のルネが私を売り飛とばしたの?と慌てるが
Oを調教にだしたのは
愛ゆえらしい。
Oを調教するという不条理なロジックなのだ
一ヶ月ほどの調教の後、城館を後にしたOは、
ルネからイギリス人のステファン卿を紹介される。
ステファン卿はルネにとって兄であり師匠のような存在らしい。
Oはステファン卿の求めにしたがって、
ルネから卿に譲り渡される。
自分の大事なOを尊敬する師匠に
譲渡することがサド界のルールなの?
ステファン卿の持ち物となったO。
卿に鞭打などの調教を繰り返され、
特殊な館でレッスンを受けるうちに
Oはルネのことを忘れ
ステファン卿を愛するようになる。
Oは卿の所有物である証として
お尻に烙印を押され、デリケートゾーンに鉄の輪と鎖を付けられる。
Oはその状態に”幸せ”を感じる。
い、痛そう・・・。
マゾの喜びを解説すると、
鞭で打たれる=快感ではない。
鞭打ちは肉体的に痛い。
痛いけど、所有者に服従する喜びがある。
はぁ。
怖ろしい
Oのマゾヒズムはさらに深化する。
ある夜会で、Oはフクロウの仮面を被り、
全裸で人々の前を歩き、晒し者になる。
それがステファン卿への愛の証だ。
背筋が寒くなるラストシーンだ。
ここでO嬢の物語は終わる。
削除された章には
Oの最後が綴られていた。
Oはロワッシーに戻って
ステファン卿に捨てられる。
Oは死ぬことを選び、
ステファン卿も同意するという結末だ。
死ぬ自由しか残されていなかった
O嬢の物語は「覆面作家」が書いた
O嬢の物語はただのエロではない。
服従の哲学を語る流麗な文章からも
知的な女性が書いたと分かる。
「服従の哲学」や「奴隷の喜び」を
自分がしたいとはまったく思わない。
けれど、こういう生き方もあるのか・・・。
鞭で打たれるのは痛いし怖い。
けれども服従・隷属の喜びが恐怖を上回る。
自我をなくす喜びがある・・・らしい。
マゾに興味ある人は
読む価値ありです。
O嬢の物語は映画も美しい
O嬢の物語は映画にもなっている。
ケーブルテレビで放送されているのを
たまたま観ました。
ヒロインのO嬢を演じるコレンヌ・クレリーが
原作から抜け出たように美しい。
原作では書かれていなかったのですが、
映画のO嬢は黒髪なのね。
ヌードが多いのですが、
きれいな裸だった。
とくに美しいかたちのバストに目を奪われます。
ストーリー展開も原作に忠実で
変にエロ狙いではなくて
(充分にエロいけどAVではない)
ロワッシー館の衣装やセットも美しく、O嬢の世界が再現されていました。
最後のシーンの全裸&フクロウの仮面も、
妙に芸術性が高く不気味でした。
映画もお薦めです。