本が好き

「他人の始まり 因果の終わり」この世を去る前にラッパーECDが遺したかったもの

「他人の始まり因果の終わり」は
末期ガンでこの世を去った
ラッパーECDの自叙伝

「他人の始まり 因果の終わり」
一見人を拒絶するような冷たいタイトル。

ところが、これは写真家の妻・植本一子と
こどもに向けて書いた自叙伝だ。

感想:植本一子「かなわない」衝撃的なむきだし日記。写真家の妻は激しい日々を綴る。植本一子の日記。 日常生活から「闇」が見えてくる よその家の日常生活に興味がある。 よその家族がどうやって 暮らしてるのか、覗き...

自らの生い立ち、家族のルーツをたどった本である。

若くして死んだ母、
割腹自殺をした弟、
すべての元凶のようなパワフルな父を描写しながら、
自分の人生を振り返る。

自分の文章を通して、
妻と会話をしようという試みだと思う。

石田さん(ECD)と植本一子さんは
家族の会話ではなく、
文章でお互いの意志を探りあっている。

闘病の日々では
家族の日常を回すことが精一杯。
気持ちの底にある思いを話し合う余裕がない。

がんばれECD:56歳現役ラッパーとその家族、闘病の記録

「降伏の記録」では、一子さんから
むき出しの本音をぶつけられた。

“石田さんは一人で自立していて、
他人を必要としていない。
妻の自分に向き合ってくれてない。”

なぜ他人を必要としない人間に育ったのか。
その答えが「他人の始まり 因果の終わり」から見えてくる。

わたしは、あとがきの文章が好きだ。

そんな状態の僕だが、最近妙に妻との会話が弾む。
口を開けば僕への小言ばかりだった一時期が嘘のようだ。
あの頃の夫婦仲の険悪さにはさすがに僕も辟易した。
一番ショックだったのは、妻が僕の写真を撮るのを
嫌がるようになってしまったことだ。

・・・・中略・・・・
それがガンになってからというもの、
再び妻は僕の写真を撮るようになったのである。
・・・・中略・・・・
あの時を境に、妻は僕をまた家族の一員と
認めたのだと思っている。

「家族最後の日」に
病院で石田さんとこどもたちを
撮った家族写真がある。

植本さんの写真は、
素の家族を写しとっていた。

石田さんは家族に向き合ってたと思う。
ただ一子さんに求められたカタチじゃなかったけど。

ABOUT ME
ヒルネ
ただいまセミリタイア中。 やりかったことをすることで、自分のこれからを模索中。 カゴ編み、ひとりめしを研究中。おばあちゃん犬のシズカと暮らしてます。

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