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感想【徴産制】男が性転換して女性になる未来。子供を産んで・・・?その先は?

目次

「徴産制」って、なんのこと?

徴産制
田中 兆子 新潮社 2018年03月22日
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by ヨメレバ

 

ヒルネ
ヒルネ
”徴産制”って、
聞き慣れないコトバだけど・・・?
徴産制とは

日本国籍を有する満18歳以上、
31歳に満たない”男子”すべてに、
最大24ヵ月間”「女」になる義務”を課す制度。

若い男性が女性に性転換することを
義務づける制度である。

あらすじ
時は2092年。
新型インフルエンザの蔓延により
10代・20代女性の85%が喪われた日本。
深刻な人口問題を解決するため、
国民投票により、
科学の力で男性を女性に性転換し、
出産を奨励する“徴産制”の施行が可決された。

性転換の対象者はまず希望者から。
次に無作為に選ばれる。
性転換をした男は”産役男”と呼ばれる。

性転換した産役男5人の物語だ。

農家の一人息子・童貞ショウマ
エリート官僚の美青年ハルト
性風俗に売り飛ばされるタケル
「仕事のできない夫」キミユキ
全身整形で美女に変身したイズミ

女性になるだけで給料をもらえる。
出産したら、国が丸抱えで育ててくれる。

性転換の期間は2年間。
その間に出産すれば、
こどもは国が丸抱えで育てる。
(自分で育てることもできる。)

2年後には”男”に戻れるし、
女性のままでいたければ
女性の身分も選べる。

ヒルネ
ヒルネ
2年間女性になれば
給料も出るし、
出産したらホームラン?

いやいや。

便利な制度にみえるけど、
世の中はそんなに甘くない。

女のカラダになったら、
女の悩みもついてくる。

「女性に性転換」と聞くと、
なぜか「若い美女」に
生まれ変わるイメージを抱く。

しかし、田中兆子は甘くない。
このハナシの面白さは「女の悩み」を
男が身をもって体験するところにある。

女の悩み①「ぶさいくな女」はツライ

農家の一人息子ショウマは
オタクでモテない童貞男だ。

カラダは女になっても、
「ぶさいくな男」は
「ぶさいくな女」になっただけ。
さらに「ニセモノの女」という
ハンデもあり、さらにモテない。

ということは、
パートナーも見つからず
売れ残る・・・(涙)

”女”として落ちこぼれた
ショウマは絶望の淵に沈むが
そんな彼女に手を差し伸べたのは、
大阪の「うどん」だった。

ヒルネ
ヒルネ
う?うどん?

これ以上はネタバレだから
書きませんが、
「うどん」は意外でしょ?
読みたくなるでしょ?

女の悩み②「妊娠できない女」はツライ

エリート官僚のハルトは合理主義者だ。
性転換して子供を産み、
国家に貢献した実績をつくる。
ゆくゆくは総理大臣になるのが目標だ。

美青年ハルトは、
性転換すると「美女」になった。

パートナー候補もよりどりみどりで
すぐ妊娠するハズが・・・・
何人とつきあっても妊娠しない。
どうやらハルトは不妊症らしい。

エリート官僚だったハルトは
女として劣等感を感じ、
生きる望みをなくす・・・。

ヒルネ
ヒルネ
さて、ハヤトはどうやって
この泥沼から脱出するのだろう?

女の悩み③ 性的搾取の対象になる

フリースクールの教師タケルは、
徴産拒否の生徒の逃亡を助けた罪で
自身もむりやり性転換させられる。

刑務所のような学校で管理され、
やっと卒業したと思ったら、
騙されて「性風俗」に売りとばされる。

「女性」の最もつらい部分、
強制売春まで踏み込んで描くとは
まさか思わなかった。

ヒルネ
ヒルネ
田中兆子は
容赦しない(T_T)

タケルのその後は
綺麗事ではなく、
ヘビーな展開へ突き進む。

女のつらさと強さを
併せもった結末だった。

性別を超えると、
知らなかった世界に気づく。

徴産制は「女の悩みを体感する」ハナシだった。

そして悩みのほかに
「女としての愉しさ」も体験する。
幸せも知ったのだ。

わたしも考える。

わたしが男になったら
どう感じるんだろう。

男のつらさも知るだろうし、
愉しさも体験するのだろう。

男になった女の話も
またどこかで読んでみたい。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

出産にまつわる小説、これも面白かった。

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ヒルネ
ただいまセミリタイア中。 やりかったことをすることで、自分のこれからを模索中。 カゴ編み、ひとりめしを研究中。おばあちゃん犬のシズカと暮らしてます。

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