2019年もたくさん本を読みました。
その中から
覚えておきたい。
と思う本をまとめてみました。
目次
小説部門は7作品
「フィフティピープル」チョン・セラン
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フィフティピープル 50人の痛くて、おかしくて、悲しくて、愛しいハナシ。
「光の犬」松家 仁之(まついえ まさし)
雄大な北海道の自然の中で
家族と北海道犬の暮らしが
ゆっくり繰り広げられていく。
お転婆な少女「添島歩」と
牧師の息子「工藤一惟」の初恋未満の友情を育む。
2人は都会の大学に進み、
自分の道を見つける。
「一惟」は大学で神学とピアノを学び、
故郷の教会でオルガンを弾く牧師になる。
「歩」は天文学者の道を目指すが
志半ばで病に倒れる。
「歩」は死ぬ間際に、「一惟」にある頼み事をする。
この小説ではずっと「一惟」が弾くオルガンが流れている。
日常生活から離れて
静謐な世界に包まれたいときにおすすめ。
まっすぐで健気な描写がたまらない。
松家仁之「光の犬」読了。北海道で3世代生き抜いた家族と北海道犬の物語は、静けさに満ちている。
「昭和の犬」姫野カオルコ
昭和33年滋賀県に生まれた少女「柏木イク」
どんな怖い犬も懐かせる変人の
父親との暮らしの中で、
彼女の傍らにはいつも犬がいた。
平凡なイクは高度経済成長期の日本を生き、
自分では犬を飼えなかったが、
周囲の犬に支えられて生きていく。
ウツになり休職中のイクと
散歩のワンコとの触れ合いがリアルで・・・、
思わず涙腺がうるうるさせられた。
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姫野カオルコ「リアル・シンデレラ」「ツイラク」「昭和の犬」ラストシーンで不覚にも泣く
「リアルシンデレラ」姫野カオルコ
長野県諏訪市に生れ育った倉島泉は
伝説の「リアルシンデレラ」だ。
倉島泉は童話のシンデレラのように、
実親から無視され、
妹ばかりがちやほやされる。
地元名士の御曹司と結婚するも、
他の女に略奪される。
女として不遇な境遇にありながら
彼女は誰も恨まず、
周りの幸せのために
実家の旅館を発展させる。
ささやかな楽しみは、
無農薬の野菜作りと
居酒屋でのひとり飲みだ。
かわいそうな中年女に見えても
彼女は周りが幸せなら
自分も幸せだった。
清らかな心で幸せに
生きられるのか?
色々な??が頭の中で渦巻きながら
彼女が「伝説」になったラストシーンまで
辿りつくと、またまた涙がボロボロこぼれました。
彼女は間違いなく幸せな人生だったと思う。
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姫野カオルコ「リアル・シンデレラ」「ツイラク」「昭和の犬」ラストシーンで不覚にも泣く
この2冊がベストでした。
「日本のセックス」樋口毅宏
妻が他の男に抱かれるのを覗き見て、
興奮するマニアの世界をネチネチ描き、
変態の世界を垣間見る。
変態エロって、だんだん麻痺するらしい。
変態行為がエスカレートしてバイオレンスに。
ついに暴行事件、殺人事件が起き、
法廷サスペンスに。
そこから
疾風怒濤のジェットコースターに
乗せられて、ドンデン返しの連続を食らいます。
前半のエロにひるまずに、
ぜひ後半のジェットコースターの疾走を味わって欲しい。
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樋口毅宏「日本のセックス」読了。変態エロ+ジェットコースターサスペンス+愛だった。
「地球星人」村田沙耶香
今年は村田沙耶香の本を色々読んだ。
クレイジー沙耶香とあだ名がついているだけあって、
毎回どの小説もエグかった。
普通ってなんなの?
普通ならちゃんと働くの?
普通なら結婚するの?
普通なら子どもを産むの?
彼女は普通って何なの?を
とことん追究してくる。
読んでいるうちに
どんどん自分の常識がぐらぐらしてきて、
それが気持ちいいような
目眩がするような・・・。
「人肉を喰らう」という暴挙に出るし・・・
純文学分野で「人肉を喰らった」エピソードには
クラクラきました。
ぜひこのきもち悪さを誰かと分かち合いたいです。
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「地球星人」村田沙耶香。どこまで行っちゃうの?衝撃のクレイジーな展開に頭がクラクラする。
こっちの本も読み応えたっぷり↓
「殺人出産」村田沙耶香 おそろしくて、忘れられない小説
「消滅世界」村田沙耶香 人間の本能ってなんだろう。セックスも家族も消滅しても、こどもは産みたいの?
「82年生まれ、キム・ジヨン」チョ・ナムジュ
エッセイは3作品
「ここはおしまいの地」こだま
『夫のちんぽが入らない』の「こだま」の自伝エッセイ。
育った地を「おしまいの地」と名付け、
実家の暮らしから結婚後の住まいまで
その「信じられない不運」を淡々と描写している。
不運もここまでいくと、面白すぎるよ。
なんでこんなに災難ばかりなの?!
こだまサンはある意味
「最強の持ってる」人だ。
吹き出しながら
こだまサンの不運に大笑い。
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「ここは、おしまいの地」こだま 自虐的なクセにキレッキレの笑いがたまらない
「悲しくてカッコいい人」イ・ラン
韓国で絶大な人気を誇るシンガーソングライター、
イ・ランが心の内を正直に綴ったエッセイ。
クールビューティなルックスと
溢れでる詩才から
恵まれて育った人だと思われがちだけど、
イ・ランは17歳で家出して
1人で稼いで生きてきた。
イ・ランは人間が嫌いだけど
人間が好きだ。
イ・ランは家族が嫌いだけど
家族が大好きだ。
大人になってからも
死ぬのが本当はこわいと正直に書くイ・ラン。
切ないなー。
切なくて守ってあげたくなる
ツンデレの美猫みたいな人だと思う。
感受性が強くて美しい人だから
早世しそうで心配だ。
ふてぶてしい美魔女になって
ぜひ生き残って欲しい。
「悲しくてかっこいい人」イ・ラン読了。美しい猫みたいな詩人。
「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」
若林正恭
オードリー若林のキューバ旅行記。
若林正恭といえば、自他ともに認める人見知り。
そんな人見知りの彼が
今の日本と正反対のシステムで運営される国、
キューバへと1人旅。
さてさて自分の殻をやぶって
キューバの人たちとふれあえるのか?
まず可笑しかったのは、
キューバ人と言えば陽気なはずなのに、
たまたまお願いいしたキューバ人ガイドさんが
超人見知りだったこと。
人見知り若林&人見知りガイドの
モジモジ対決で最初から
笑かしてくれます。
革命博物館やチェ・ゲバラの邸宅、
闘鶏場を彼の視点で
感じたことを書きながら
彼は自分以外の誰かと会話している。
最初は、もう1人の自分と話してるのかな?
と思っていたら
相手は意外な人物だった。
キューバの風景を見ては
その人と会話してたのか・・・。
じーーーーーん。
オードリー若林正恭「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」 人見知りのキューバ旅行記
フィクション・エッセイは2作品 ノン
「かなわない」「降伏の記録」「家族最後の日」
「台風一過」植本一子
2019年で一番ショックを受けた本かもしれない。
写真家・植本一子が書かずには
いられなかった家族、母、生きづらさ、夫以外との恋愛。
年上のラッパーECDと結婚し、
幼いこども2人と暮らす。
収入は少ないながらも
自由に才能を発揮するアーティスト夫婦。
と思いきや!
期待を裏切る日記文学だった!
震災直後の不安を抱きながらの生活で、
こどもは可愛いのに、
児童虐待に近いほど感情が爆発してとまらない。
自由に仕事ができない不満から
夫へ怒りが募る。
実母とは絶縁。
そして夫がいても、
別の彼と恋愛していたけれど、
別れを告げられる。
その後、夫の直腸ガンが発見され、
怒濤の闘病と子育て生活へ。
ありのままを書いていいの?!
圧倒的な迫力でおそろしい日記文学。
他人を傷つけても
書かずにはいられないって
「かなわない」のことだろう。
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植本一子 「かなわない」 夫・子供と暮らしつつ、恋人がいる。恋人と別れた後、夫の末期癌が見つかった。写真家の妻は流れゆく景色を綴る。
「子どもたちの階級闘争」
ブロークンブリテンの無料託児所から
ブレイディみかこ
英国・ブライトンに20年以上住む
ブレイディみかこが、保育士として関わった、
「全国最悪の水準」の無料託児所での見聞録。
託児所では白人の最下層とインテリ・ヒッピー、
それに移民の親子が共生していた。
しかし生活保護や失業保険がカットされ、
とうとう託児所さえもが姿を消す。
暗いハナシでハッピーエンドなんてないんだが、
たまにチラッと希望が顔を出す。
その希望を光をまた見たいから
保育士はたちはこどもたちと関わり続けるのだろう。
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「子どもたちの階級闘争ーブロークン・ブリテンの無料託児所から」ブレイディみかこ 「叩かれたくなかったら、堂々としていなさい」元不良少女の言葉は真実を語る。
対談は2作品
「わたしがオバさんになったよ」ジェーン・スー
あのジェーン・スーがくせもの8人と語り尽くす
「オバさんの楽しさ」
対談相手がジェーン・スーのファンなら
キュンとくるメンツばかりだ。
・光浦靖子
・山内マリコ
・中野信子
・田中俊之
・海野つなみ
・宇多丸
・酒井順子
・能町みね子
本の帯の言葉もいいよね。
人生、折り返してからの方が
楽しいってよ。
同年代として共感しちゃいます。
そして、今後の教訓としても
覚えておきたい。
考えることをやめない。
変わることをおそれない。
間違えたときにふてくされない。
この対談を読んだ後は、
対談相手が書いた本が読みたくなって
読んじゃうんだよな。
読書の幅も広がるよ。
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ジェーン・スー「私がオバさんになったよ」クセモノ8人との対談集。オバさんは賢く・強く・面白く生きる。
「ていだん」 小林聡美
「ていだん」とは、三人が向かい合って話をすること。
小林聡美がゲスト2人と語り合う、
3人の対談集です。
小林聡美だからこそ聞き出せた、
あの人たちの意外な素顔が面白かった。
【ゲスト】
●井上陽水&川上未映子
●小泉武夫&飯島奈美
●もたいまさこ&片桐はいり
●松岡享子&群ようこ
●柳家小三治&酒井順子
●長塚圭史&西加奈子
●加瀬亮&前田敦子
●南伸坊&江戸家小猫
●大橋歩&小野塚秋良
●宇多喜代子&森下圭子
●市川実和子&市川実日子
●坂崎千春&坂本美雨
●大貫妙子&畠山晶
●板谷由夏&平岩紙
●白旗眞生&野村友里
●役所広司&光石研
●甲斐信枝&本上まなみ
●石田ゆり子&中谷百里
わたしは「ていだん」を読んで、
「太い人間」になりたいと思ったのです。
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小林聡美「ていだん」読了。これから、「太い女」として「上機嫌」に生きていこう。
おまけ 料理本はこの1冊
「COOK」坂口恭平
ウツ状態になりかけた坂口恭平が
日々の料理をつくり、
記録した料理日記が素晴らしい。
詳しいレシピも
料理の作り方もっていないけど、
めっちゃいい。
あたらしい料理の教科書だ。
不思議と自分で料理したくなる。
坂口恭平がつくった料理の写真と共に
「最高においしかった!」など
自画自賛の無邪気な言葉が続く。
自分でつくった料理って
自分の好み100%で
たしかにおいしい。
自炊のやる気が出てくる本。
手元に置いてときどき眺めたい本。
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坂口恭平「COOK」読了。料理の刺激でウツ脱けできる。
1年まとめてみると、ついつい長くなっちゃいました。
2020年もまたドキドキしたり、
グサッと傷ついた気持ちになったり
ジーンと嬉しかったり、
色々感じる本を読みたいです。
ヒルネさんの読書記録、参考になります!
結構人のおすすめ本でピンときたものを乱読しています。
最近は書籍以上に、名文家だったり深い世界観を持つブロガーさんも増え、そっちに流れ気味ですが(^^ゞ
対談・鼎談から、その人に興味を持って著作を読む流れ、私にもあります。
中野信子さんで検索して『三人寄れば無礼講』清水ミチコ著を読みましたが、面白かったですよ♪鼎談者の林のり子さんの名言「稼がず使わず寝て暮らす」にニンマリしたり(でも林さんは働き者ですが)
もう師走ですねー。そろそろ来年の抱負を考えねばと思い「わたし時手帖」を買ってみました。来年こそ、使いこなそうと思います^^
葉桜さん、こんばんわ。わたしも人の読んでよかった本リストが好きで、そこから新しい著者を読んでみたりしています。
清水ミチコさんの「三人寄れば無礼講」鼎談者のメンツがまた面白そうですね。
ノーチェックでした。図書館の読みたい本リストに入れました。来年早々に読めるかな?(^^)
12月になるとすっかり今年は終わりで、来年のことばかり考えちゃいますね。
「わたし時手帖」を調べて見たら、これもまた面白そう(^。^)わたしも好きなタイプかも。
お互い、来年は手帖を使い倒しましょうねー。