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感想【地球星人】狂ってしまえば幸福だ。

目次

コンビニ人間の後は「地球星人」
鳥肌がたつ気持ち悪さ。

村田沙耶香は常軌を逸している。
ヤバい。

芥川賞受賞作「コンビニ人間」の時もヤバかった。
自分の目の前にどんどん高い壁ができて、
圧迫死されらそうだった。

あの苦しさは世間の同調圧力なんだな。

主人公はいつも苦しんでる。
世間の「こうあるべき」生き方に
あわせられない人間だから。

主人公がクレイジーな社会で
「サバイバル方法を探す」のだ。

「地球星人」
ポハピピンポポビア星人の話?

 

「地球星人」の出だしを読むと、
最初は魔法少女が主人公のSFみたいだ。
主人公「奈月」は小学校5年生。

家族には話していないが、
わたしは魔法少女だ。

読み始めて・・・・

ヒルネ
ヒルネ
ん?SFじゃない?

お年玉で買ったぬいぐるみの
「ピュート」が実は
ポハピンポボビア星人だったというのだ。


ピュートは、白いハリネズミのぬいぐるみ。

ポハピピンポボビア星からやってきたピュートは
地球に危機が訪れている察知し、
その星の魔法警察の任務をうけて地球にやってきたのだ。
それ以来わたしは魔法少女として地球を守っている。

ぬいぐるみと一緒に地球を救う魔法少女。

ここからもう狂ってる?

奈月は自分をポハピピンポボビア星人だと
思い込み、正気を保っている。


家族からのネグレクトや
塾のバイト教師の性的虐待から、
かろうじて精神を守っている。

家の中にゴミ箱があると便利だ。
私はたぶん、この家のゴミ箱なのだと思う。
父も母も姉も、嫌な気持ちが膨らむと私に向かってそれを捨てる。

小学生にここまで思わせるとは、つらいよ。

ポハピピンポボビア星人になるのは
こどもなりに編み出した
生きのびるための手段だ。

そんな主人公の心の支えは
いとこの由宇だ。

いとこの由宇は私の恋人だ。

由宇によると、
彼は赤ちゃんの時に拾われてきた
宇宙人らしい。

宇宙人同士の恋愛だ。

奈月は、山奥の祖父母の家で
由宇といる時だけ
生きる喜びを感じる。

小学3年生の時に、「恋人」になり
小学5年生で密かに「結婚」の約束をする。

由宇とは、1年に1度しか会えないが、
お互いに誓いあう。

なにがあっても、いきのびること

そして、小学5年生で
命の危険を感じた奈月は
由宇と「内臓で」つながりたくて、
セックスしようと誘う。

2人は結ばれた直後、
大人たちに見つかり引き離される。

その後、由宇に会えないまま大人になる。

ヒルネ
ヒルネ
奈月は、どんな大人になった?

奈月は偽装結婚で家を脱出

30歳を過ぎた奈月。

家から脱出するため
「すり抜け・ドットコム」で
偽装結婚の相手を探す。

性交渉なし、握手以上のスキンシップなしの男性だ。

偽装結婚で家を出て
2人は快適な結婚生活を送っているのだが・・・。

大人になった由宇と再会

奈月はこどものころから、
街は地球人をつくる工場だと感じていた。

ここは巣の羅列であり、人間を作る工場でもある。
わたしはこの街で2種類の意味で道具だ。

1つは、お勉強を頑張って、働く道具になること
1つは、女の子を頑張って、この街のための生殖器になること。

わたしは多分、どちらの意味でも落ちこぼれなのだと思う。

夫も自分も、落ちこぼれ。
世間の目をすり抜けて、
地球人として生きている。

ところが、
夫が職を失い、気晴らしに
山奥の祖父母の家に
遊びに行くことになる。


そこで、同じく無職の「由宇」と再会する。
由宇は無気力な大人になっていた。

ところが、再会で変な化学反応が起こる。

ヒルネ
ヒルネ
ここから衝撃の展開だ

3人は狂って幸せになる

作家仲間から村田沙耶香は
「クレイジー沙耶香」と呼ばれている。

「殺人シーンを書くのが喜び」“クレイジー”と
呼ばれる芥川賞作家・村田沙耶香の肖像

そうだね、再会してから

ヒルネ
ヒルネ
怒濤のクレイジー展開がスタート!

幼なじみの由宇と夫、奈月の奇妙な山奥生活がはじまる。

愛とか恋ではなく、
ポハピピンポボピア星人として
3人は生きる。

そこからは、
クレイジーな展開が待っている。

盗み

ネズミを食う

殺人

カニバリズム

つまり人間を喰っちゃうのだ。

おぞましい展開なんだけど、
奈月たちは幸せだ。
狂って狂って、幸福になる。

ポハピピンポボピア星人として
生きのびることに成功した。

うわうわうわ・・・。

そこまでしないと幸福になれなかったのか。

ヒルネ
ヒルネ
はい、衝撃のラストでした

「生きのびる」のは難しいのか

読み終わると、
精神がどよんと濁るし、
性的虐待やカニバリズムの描写や
胸くそ悪い小説だ。

でも、村田沙耶香ってクセになる。

私自身、神経がずぶとくて
死にたいと思ったことはない。

子どもは産んでないし欲しくなかったけど
バリバリ働いて稼いでたので
精神的な免罪符を持って
「子どもを産む工場」社会でも大丈夫だったのかな。

もしバリバリ働けなかったら、
生きることがつらかったかも。

でも、今プー太郎だし、
「工場」視点では不良品なのよ、わたし。

いいやん、不良品でも。

そんなことに気づいたり、
考えたりするのは
クレイジー沙耶香のおかげ。

それでまた次のクレイジーを求めて読みたくなるのだ。

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ヒルネ
ただいまセミリタイア中。 やりかったことをすることで、自分のこれからを模索中。 カゴ編み、ひとりめしを研究中。おばあちゃん犬のシズカと暮らしてます。

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