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セックスも家族も世界から消える?!
消滅世界 | ||||
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村田沙耶香の小説の読後感は、最悪だ。
生理的な嫌悪がまとわりついて、
きもち悪くなる。
もう村田沙耶香は止めておこう・・・と思いつつ、
しばらくするとまた次の話を読んでいる。
読みたい
なんだろう。
この感覚。
自分の常識をあえて
疑ってみたいという衝動だ。
消滅世界のあらすじ
セックスではなく人工授精で、
子どもを産むことが定着した世界。
この世界では、夫婦間の性行為は「近親相姦」とタブー視される。
「両親のセックス」で生まれた雨音は、
自分の出生に嫌悪を抱いていた。
自分は母のような結婚はしない。
そう決めた雨音は清潔な結婚生活を送る。
夫以外のヒトやキャラクターと恋愛を重ねる雨音。
だがその“正常”な日々は、
夫と移住した実験都市・楽園で一変する…。
男も女も出産し、こどもを社会全体で
育てる実験都市。
だれもがみんなの「こどもちゃん」で
だれもが「おかあさん」になるのだ。
それが究極の未来なのか・・・・・?
近未来の日本?
人工授精があたりまえの社会
雨音が住む世界のルールはこうなってる。
・赤ちゃんは人工授精で生まれる
(セックスで生まれるこどもは珍しい)
・シングルでも出産して子育てできる
・夫婦はセックスしない
・夫婦のセックスは近親相姦だ
・恋愛は家庭の外でおこなう。
・人気の恋愛スタイルはアニメ等のキャラとの恋愛。
・人間との恋愛はプラトニックが多数派。
・実際にセックスする人は減っている
「性欲」が減っても、
「計画出産」で人口の拡大を狙う社会だ。
恋愛や性欲は嗜好品である。
したい人がすればいい。
オタク文化が流行る
今の日本を突き詰めると
こうなるのか・・・?
子供が欲しい人は
シングルでも夫婦でも
人工授精でチャレンジできる。
出産は強制じゃない。
ただ「血のつながった家族が欲しい」と
計画出産する人も多い。
この社会、
恋愛しなきゃとか
結婚しなきゃ
出産しなきゃという重圧はない。
自由で生きやすいかも?と
思ってしまった。
ただ夫婦で恋愛NGは
不自然だよね。
といいつつ、
最初から恋愛抜きの方が楽なのか。
うーん。
生きている実感が薄そうだけど、
恋愛が苦手な人間には
生きやすい世界だ。
さみしいけど、いいかも。
あと大変なのは・・・性欲が強いヒトには
つらい社会かな。
風俗産業は無さそうだしね(笑)
「出産」「子育て」は楽園都市で
みんなのものになる
この社会システムでも
出生数は足りない。
政府は千葉に実験的な楽園都市をつくる。
そこでは、女も男も出産できる。
(男性は人工子宮を装着する)
赤ちゃんは公的機関で育てられる。
特定の名前はなく、
みんな「子供ちゃん」と呼ばれる。
(自分が産んだ子が誰かは分からない。)
女も男も「おかあさん」と呼ばれる。
公園でペットのように子供を可愛がる。
すごくきもち悪い。
なぜきもち悪いと思ったのか
考えてみる。
「自分のこども」を手放せる?
自分のこどもへの愛情・執着を舐めたらいかん。
社会ルールで決められていても、
自分のこどもに向ける本能を
無視できないと思う。
全員が「子供ちゃん」と呼ばれ
同じような姿に育つ?
名前をつけずに同じ格好をさせて
性差なく育つと描写されている。
そんなのってあり?
人間の遺伝子って強力だ。
育つ中でそれぞれの個性や多様性が
自然に生まれてくるハズだ。
「名前なし」で育つのも信じられない。
「名前なし」で育てられるから
均質化するという設定なのだろう。
うーん。
村田沙耶香の小説は「設定重視」で
本能を無視してないか?
そこが違和感の源かな。
楽園の「気持ち悪さ」を際立たせるために
あえてクレイジーな「トンデモ設定」に
しているとしても、人間の本能を舐めちゃだめ。
本能に逆らいすぎて
鳥肌がたつほど
きもち悪い。
主人公は静かに狂い、反逆する
主人公「雨音」は夫とともに
実験都市に移り住む。
密かに自分たち夫婦の子供を作ろうと、
受精卵に手を回したり
密かに抵抗する。
しかし実験都市のシステムは強固だった。
次第に雨音夫婦はシステムにのみこまれ、
飼い慣らされる。
雨音は静かに狂う。
ラストはおぞましい行為におよび
社会に復讐をする。
書かないけれど、
ほんとにきもち悪い。
地球星人、コンビニ人間、殺人出産、
村田沙耶香の小説は
ラストがクレイジーだ。
この反逆の生理的きもち悪さが
クレイジー沙耶香と呼ばれるゆえん。
今の常識からはみ出る
トンデモ設定に惹かれて毎回読むんだけど、
毎回ラストでドン引きする。
今回も思い切り
ドン引きしました。
ハイ。
しばらく村田沙耶香はお休みだ。