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東洋陶磁美術館「天目のきらめき」展を観てきた
最近すごいお茶碗を続けて観る機会に恵まれた。
弾みがついて、東洋陶磁美術館の
現代天目の第一人者の展示会に行ってきた。
天目作家・木村盛康氏は 現在84歳!
木村盛康氏は1935年に京都五条坂に誕生。
父は京焼の画工・木村繁氏で、長兄・盛和氏と
三兄・盛伸氏はいずれも陶芸家という陶芸一家に育つ。
京都工芸指導所にて陶芸の基礎を習得した後、
長兄盛和氏に師事して、天目作家への道へ。
以来60年余り、独自の色調・釉調の天目を創作。
作品は国内外の多くの美術館にも所蔵されている。
今回東洋陶磁美術館に
匿名の個人所蔵家より木村盛康氏の
天目作品25点の寄贈を記念して、
「きらめき」展開催となった。
天目茶碗が観られます♥
撮影OKだったので、
たくさんの展示の中から
特に心に残った作品を記してみます。
油滴天目茶盌 1996年
青い銀河に星が瞬く油滴天目。
上から覗き込むと
油滴がびっしり瞬いてる。
クールな蒼い宇宙が広がる。
現代の油滴天目、恐るべし。
松樹天目茶盌 2005年
松の樹皮を想わせる文様。
木村盛康オリジナルの文様なんだって。
漆黒の地に銀色を帯びた松樹文様がびっしりと広がる。
どんどん広がって茶碗を飛び出しそうだ。
男らしいドッシリした茶碗だった。
禾目極星茶盌 のぎめきょくせい 2013年
「禾目」茶碗といいつつ、
樹木の枝のような複雑な禾目文様は珍しい。
「禾目極星」の名が付けられている。
青や橙、草色と多彩な色が文様に重なり、
抽象絵画のようだ。
モネの睡蓮のように光にきらめく茶碗でした。
天目小宇宙茶盌 2017年
飴色をベースに青・白・黄の釉薬が混じり合う。
星雲のような茶褐色の斑文が茶碗の中にも外にも見える。
手のなかに収まる小ささなれど、
宇宙ですよ、宇宙!
天山茶盌 2009年
今回一番驚いたお茶碗がこちら。
「天山」はシルクロードの交易路、
天山山脈の雪景色をイメージしている。
蛇の皮のような、樹皮のようなザラザラした肌。
梅花皮(かいらぎ)というらしい。
もともと刀剣の柄に巻くエイ皮を「梅花皮(かいらぎ)」と言う。
そこから転じて、エイ皮の表面に似ていることから「かいらぎ」と呼ばれる。
井戸茶碗の高台付近に焼き付けられたものが多い。
網目状の白い釉薬の中に
青白色の斑文も見える。
ゴツゴツした手触りだろうな。
冷たい触感かな。
手に触ってみたい。
現代の天目茶碗の最先端を拝見。
今もこんな凄いお茶碗が造られているんだな・・・と驚いた。
さてここからは東洋陶磁美術館の
最高傑作を観にいきます。
この2作品だけでも
東洋陶磁美術館に行く値打ちあり
油滴天目茶碗(国宝)
南宋時代12-13世紀。
今から700年以上前のお茶碗だ。
金・銀・紺に輝く斑点が
水面に浮かぶ油滴のよう。
口縁の金覆輪が
キュッと茶碗を引き締める。
枯れた仙人のようだ。
木葉天目茶碗(重要文化財)
こちらも南宋時代12-13世紀。
加賀前田半に伝来した
木葉天目の最高傑作。
高台が小さく、横姿が美しい。
こちらは本物の桑の枯葉が
焼きつけられている。
細い葉脈まで写っている。
この2つのお茶碗が常設で鑑賞できるって
すごいことだ。
東洋陶磁美術館は、大阪の誇りだよ。