ただいま特別展「高麗青磁ヒスイのきらめき」が開催中なのです。
これは絶対見ておきたい!です。
翡翠色の青磁ばかりを集めた贅沢な展覧会です。
この美術館では、ほとんどの作品が写真撮影OKで、SNSでの告知もOK。
(最近そういう美術館が増えてきました。後から写真を見直して記憶を反芻できるから、
何度も楽しめて、オトクに感じます。)
さて、わたしの備忘録も兼ねて、その中でわたしが好きな作品をいくつかご紹介します。
シンプルな青磁の中では、この「水洗盆」が一番好きでした。
「青磁 水洗盆」
北宋時代の青磁です。青みがやや強い色を見ていると、
引き込まれます。口縁部のブロンズカラーは、銅製の覆輪がはめられています。
「水洗盆」という名前だったので、「貴人が顔を洗うための水を運ぶための盆」だと勝手に思っていました。改めて調べてみると、どうやら用途がはっきり分かっていないらしい。なんと、「犬の餌入れ」だという説もあるらしい・・・。他には、水仙などの水栽培の鉢として、使われていたとか・・・。こんなに高価で手間が掛かっているものが、実は犬の餌入れとか、鉢とか。エネルギーの使い方がもったいないような気もするぞ。ほんまかな。
青磁象嵌雲鶴文梅瓶(せいじぞうがんうんもんめいびん)
雲と鶴のモチーフを象嵌という手法で、表現しています。
胴が丸くふくらんで、口はきゅっとすぼめらた形の壷を「梅瓶」というらしい。
「象嵌」という技法は、陶器に模様を刻み込み、そこに金属や土などの材料を嵌め込んで、絵柄を表現する手法だそう。この作品は、白と黒の土を嵌め込んでいます。時々年月の経過によって、象嵌が剥がれてしまった作品もありました。剥がれている作品を見ると、「元の模様を刻み込んでいる」工程がよく分かりました。
青磁象嵌雲鶴文碗(せいじぞうがんうんかくもんわん)
鶴の飛ぶカタチがユーモアたっぷりで、愛らしすぎる・・・ということで、お気に入りにランクイン。わたしはやっぱり「鶴」が好きなんだと再確認しました。
青磁象嵌雲鶴文高足杯(せいじぞうがんうんかくもんたかあしはい)
高足杯は今回の展示の中では、この作品のみでした。
青磁では珍しいかたちなのかも。高足の不安定なカタチがいまにも倒れそうで、なんとなく目が離せません。
青磁象眼童子宝相華唐草文水注
(せいじぞうがんほうそうげからくさもんすいちゅう)
一見こじゃれた水注に見えますが、目を凝らしてみると、中央に唐草を登っている童子の姿を発見。「ジャックと豆の木」のように唐草を登っているのか。
蛭子能収さんの描くヘタウマのような子どもの姿に、「昔もヘタウマ絵の需要があったのね」とホッコリした気持ちになります。
そして、こちらはめずらしいマーブル模様の青磁。
青磁鉄地陰刻法相華唐草文碗
(せいじてつじいんこくほうそうげからくさもんわん)
おどろおどろしい印象を受ける、珍しい青磁。
陰刻=くぼみ彫,沈み彫ともいう技法らしい。
この展覧会では、2点だけ展示されていました。
青磁=澄んだ色の陶器のイメージだったんですが、この青磁は意外なデザイン。ダーティな迫力がありました。
様々な青磁を見て、頭の中が青磁でいっぱい・・・といいつつも、
東洋陶磁美術館は常設展が素晴らしいので、必ず観ます。
東洋陶磁美術館 名物茶碗が素敵なんです♥
わたしのお気に入りは、大阪の誇る「名物茶碗」二点です。
一点目は、木葉天目 茶碗(このはてんもくちゃわん)
南宋時代の最高傑作として名高い天目茶碗。
木葉は、桑の枯葉が焼き付けられています。
加賀前田家伝来のお茶碗。当時は、一般庶民がこのお茶碗を拝見するなんて、一生なかったでしょう。今の世になって、重要文化財の茶碗がこんなに間近に拝見できるんですもの。
しみじみしちゃう。
二点目はこちら。
国宝 油滴 天目茶碗(ゆてきてんもくちゃわん)
水面に浮かぶ「油の滴」を表現した茶碗。口縁部には金覆輪が嵌められていて、豪華なたたずまいです。観る角度を変えると、しずくが虹色に輝いたり、銀や紺色に見えたり、カメレオンのようなお茶碗です。関白豊臣の秀次(後に切腹)が所有していた茶碗だそうで、「このお茶碗で、喫茶したんだろうな」と想像するのも楽しいです。
この2つのお茶碗、もう10回以上拝見した・・・と思いますが、何度観ても美しい。
大阪中之島に来られた時は、ぜひおすすめしたい美術館です。