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会社を辞めたい潜在意識があった?!
わたしは働くことが好きだった。
そして会社のことも嫌いじゃなかった。
会社のポジションは、マーケティング分野の専門職で正社員。
役職はないけど、自分の意見を尊重してもらえる立場だった。
公平な視点で見ると、自分は恵まれている(おいしい)ポジションだと
ちゃっかり自覚していた。
そんな訳で「このポジションを手放してはいけない。
できるだけこの会社で長くがんばろう。」と思っていた。
計算高い理性の声である。
なのに・・・わたしはうっかり
「稲垣えみ子」の本を読んじゃった。
稲垣えみ子は、アフロヘアの異色新聞記者。
50歳を契機に高給の朝日新聞をすっぱり退社。
無職の物書きになったおひとりさま。
電気代が月200円!という超節電家としても有名だ。
影響を与えたのは「魂の退社」と「寂しい生活」
稲垣さんの本は、特に会社に不満がない人でも、
「会社を辞めて、リアルな自由を味わってみたくなる」
ヤバいココロを掘り起こす。
「魂の退社」
50歳で会社を辞めようと思うまでのココロの動きを
丹念にたどる。高給をもらい、じゃんじゃん使うことで
ストレス解消していた稲垣さん。
香川への転勤で等身大の消費に目覚め、
お金がそんなになくても生きられることに気づき、
会社を辞めてもいいかもと思って・・・・
「寂しい生活」
東日本大震災を契機に、脱原発を目指して
節電生活にチャレンジ。
まず掃除機を捨て、ついには冷蔵庫も捨て、
会社も辞めるにいたった経緯を描く。
稲垣さんの文章は飄々とユーモアにあふれている。
気づいたら、するするっと
ココロに入り込んでくる。
東日本大震災をきっかけに、個人で脱原発を目指し、
節電をスタート。
家電を1つ1つ手放していく。
最初は掃除機、電子レンジ・・・
ついに冷蔵庫まで手放してしまう。
便利な家電とオサラバするたびに、
彼女はどんどん自由になった。
それはまるで、病院のベッドで
たくさんのチューブにつながれた
重病人が1つ1つチューブを外して、
自力で回復していく感覚だったそう。
それがドンドンエスカレートして、
超必需品の「会社」とオサラバする。
会社を辞め、大切なものと別れ、
一人ぼっち・・・。
でも、自由。不安で孤独で、
でも何とか耐えられる。
もしや、これが「今を生きる」ということ?
読み進めるうちに、
わたしもこの感覚を
リアルに体験したくなってきた。
人生の仕切り直しというか、
こわいものみたさというか。
でも会社辞めるには
貯金も勇気も足りないな。
計算高い理性の声がわたしを引き留める。
(だって、会社に大きな不満があるわけではないのだ。)
稲垣さんは人気記者としての実績があるから
会社を辞めても、物書きとしてやっていける。
じゃあ、わたしは会社を辞めたら、
何をやって生きていくの?
同じ職種のマーケティングで仕事をするのか・・。
それなら、今の会社で仕事を続けた方がいい。
どうせなら、全く違う分野で新しい仕事をしてみたい。
モノを作ったり、チクチク縫ったりすることで好きだから、
何か作れないかな。
そんなのは、ぼやっとした夢物語かな。
今のおいしいポジションをみすみす捨てるのはもったいないし、
副業として、物作りを初めてみるか・・・・。
などと思っていました。
ところが、どんな運命のタイミングか、
この本を読んで2ヶ月後に、
「早期退職者を募集します」というメールが
会社から送られてきた。
自分が求めているタイミングで、
必要とする本と巡り会うこともある。
この本は、まさにそんな本だった。