珍しく辛口の書評です。
「カササギ殺人事件」って、ほんとにそんな面白い?
わたしは、物足りなかったなぁ。
目次
2019ミステリ界の第1位。
期待して読んでみた。
カササギ殺人事件は、アガサ・クリスティを真似っこオマージュした推理小説。
やたら評価が高いのだ。
『このミステリーがすごい! 2019年版』第1位
『ミステリが読みたい! 2019年版』第1位
『2019本格ミステリ・ベスト10』第1位
読まなきゃなー
図書館の予約でも100人待ち。
やっと自分の番が回ってきて、
わくわくしながら読み始めたんだけど・・・
著者アンソニー・ホロヴィッツについて
BBCの大ヒットドラマ「名探偵ポアロ」「刑事フォイル」
「バーナビー警部」の脚本・演出を手がける
現代ミステリ界のトップランナー。
イギリスではヤングアダルト小説の著者として有名。
ドラマの名探偵ポアロはめっちゃ面白い。
原作の偏屈なポアロを可愛らしいオッサンに
仕立てるセンスが絶妙なのだ。
毎回クスクス笑いながら観ていた。
そんな彼が書くんだから、アガサ・クリスティの世界を絶妙に再現しているはず。
上巻のあらすじ
1955年7月、パイ屋敷の家政婦の葬儀がしめやかにおこなわれた。
鍵のかかった屋敷の階段の下で倒れていた彼女は、
掃除機のコードに足を引っかけたのか、あるいは……。
その死は小さな村の人々へ徐々に波紋を広げていく。
消えた毒薬、謎の訪問者、そして第二の死。
病を抱えた名探偵アティカス・ピュントの推理は――。
現代ミステリのトップ・ランナーによる、
巨匠アガサ・クリスティへの愛に満ちた完璧なるオマージュ作品!
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イギリスの田舎で起きた、一見何でもなさそうな家政婦の死亡事故。
その事故の直後、貴族の当主がむごたらしい死を迎える。
怪しげな周辺の人々。いったい犯人はだれなのか。
田舎の殺人事件はミス・マープルへのオマージュだし、
外国人探偵アティカス・ピュントは、ポアロの真似っこだ。
上巻はアガサ・クリスティ風の描写がダラダラと続く。
(冗長すぎる。クリスティならもっと歯切れ良く進む)
このまま下巻で、犯人を特定するのか・・・と思いきや、
下巻からガラッと内容が変わる。
下巻のあらすじ
(あらすじ)
名探偵アティカス・ピュント・シリーズ最新刊
『カササギ殺人事件』の原稿を読み進めた編集者のわたしは激怒する。
犯人を明らかにする最終章が行方不明なのだ!
著者アラン・コンウェイは何を考えているの?
著者に連絡がとれずに憤りを募らせる
わたしを待っていたのは、予想だにしない事態だった――。
なんと著者アランが塔から飛び降りて死んでいたのだ。
アランの死は自殺?他殺?
そしてカササギ殺人事件の最終章はどこに?
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この小説は異なる次元のミステリが交錯している。
1つの物語(作家の謎の死亡事件)の中に、
別の物語(田舎の殺人事件)が挟まっているんですね。
「作中作」という様式だ。
「カササギ殺人事件」の高評価の理由はここにある。
クラシカルな犯人当てミステリと英国の出版業界ミステリが交錯し、とてつもない仕掛けが炸裂する! 夢中になって読むこと間違いなし、これぞミステリの面白さの原点!
つまり
小説構造のトリックで、読者を驚かせるスタイル。
下巻を読んですぐ、
とびっくりした。
カササギ殺人事件が物足りない理由
「作中作」のアイデアは素晴らしい。
といいつつ、肝心のミステリがイマイチだった。
アガサ・クリスティへのオマージュといいながら、
ポアロやマープルのような魅力あふれる探偵は出てこない。
犯人たちの人間的な魅力も薄い。
(クリスティならもっと深く人間を描いていた。)
名探偵アティカス・ピュントの名前の意味や
最終章が消えた理由等など
確かに小技は効いていました。
ただし、2つのミステリーを交錯させると、
両方の事件が手抜きになり
犯行の動機が弱くなった。
クリスティへのオマージュだけど、
クリスティには遠く及ばない。
「作中作」というアイデアは斬新だけれど
それに自分で酔っちゃった感じ。
辛口だけど、ミステリーファンとしては以上です。
「モリアーティ」もいまいち?
もう1つあった。
思い返せば、アンソニーホロヴィッツが
シャーロック・ホームズの失踪後を描いた
「モリアーティ」も読んでました。
アンソニー・ホロヴィッツの小説は
わたしの好みじゃないのかも。
彼が手がけたドラマは好きなのにな(^。^)