こんにちわ、ヒルネです。
「百年と一日」は33の人生が淡々と描写される。
最初は物足りないくらいだが、
あまりの徹底とした淡々さに
心地よくなっていく。
目次
名もなき人たちが淡々と生きる物語
あらすじ
この星にあった、だれも知らない、だれかの物語33篇。
舞台は、日本のような外国のような。
学校、島、家、映画館、喫茶店、地下街の噴水広場、空港……。
さまざまな場所で、人と人は人生のひとコマを共有し、
別れ、別々の時間を生きる。
大根のない町で大根を育て大根の物語を考る人。
屋上にある部屋ばかり探して住む男。
周囲の開発がつづいても残り続ける
「未来軒」というラーメン屋。
大型フェリーの発着がなくなり
打ち捨てられた後リゾートホテルが建った埠頭で
宇宙へ行く新型航空機を眺める人々……。
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実は最初こんなことを想像していた。
何かがつながる構成かも?
最近そういう技を効かせた短編集を見かけるし。
いやいや。
その想像は大ハズレ。
見事なまでにつながりませんから(笑)
それぞれ33コが独立して
はじまり、終わっていきます。
神の視点で俯瞰した物語
どの物語も
大きな事件に巻き込まれたときも
何も起こらなかったときも
登場人物は淡々と生きていく。
泣いたり怒ったりした激しい感情には触れず、
ただシンプルに人生の経過を描写する。
これって、神の視点だよね?
大きな視点から地球を見下ろすと、
たくさんの人たちが毎日生きて、
事件に巻き込まれることもあれば
そのまま何事もなく生きていくこともある。
俯瞰してみれば、誰もが淡々と生きて死んでいくんだろうな。
「百年と一日」を読みながら、
そんなことを思う。
淡々と生きた延長上に、
人知れず死んでいくんだろうな。
淡々と死ぬのも悪くない。
そんなことを思った次第です。