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今の女性に響くエロスがある?
映画『Red』のラブシーンが話題だ。
文春オンラインの記事で、興味が湧いた。
異色のベッドシーンで賛否両論! 映画『Red』の“容赦ない濡れ場”が日本社会に突きつけたもの
女たちが泣き濡れるベッドシーン
・・・ってどんなんだ?
「女たちが泣き濡れる」って煽ってるが、
自分は泣き濡れない予感がする。
「夏帆&妻夫木クン」の組み合わせ、
想像してみるけど、エロいんだろうか。
エロくなさそうな予感がするんだけど・・・。
映画を観るが決める前に、
まず原作を読んでみることにした。
島本理生の官能小説として話題になった。
タイトル『Red』からして、意味深だ。
『Red』の意味
女の体温を上げ、欲望を刺激し、
変化を促し、ここではないどこかへと導く何か。
あらすじ
夫の両親と同居する塔子は、可愛い娘がいて姑とも仲がよい。
経済的にも恵まれ、幸せなはずだった。
夫とのセックスが上手くいかない他は。
友人の結婚式で、かつての恋人『鞍田』との再会が塔子を目覚めさせる。
結婚前に不倫の関係だったが、鞍田は今は離婚したらしい。
彼ならもっと若くて美しい女性が似合うのに、
主婦のわたしをなぜ誘惑するのだろう。
彼に抱かれ、塔子は忘れていた快楽の世界へ引き寄せられていく。
そして、辞めてしまった仕事、セックスレス、姑との関係など
見て見ぬふりをしてきた不満や疑問がひとつ、
またひとつと姿を現してくる。
ここからネタバレ
- 塔子は離婚しない。
- 不倫もバレない。
- 不倫相手は重い病気になっていたが
塔子と別れる。 - 夫とは一時の別居を経て
今は夫・娘と暮らしている。 - 塔子は仕事にやりがいを感じ、充実した日々を送っている。
いろいろやらかしたのに
結局大きな変化は起きないのだ。
小説『Red』辛辣な感想を書いてみたい
辛辣なこと書いちゃうぞ。
この話、官能小説でもないし、
禁断の愛でもない。
心は10ミリも震えない。
読み始めてすぐ思ったのが
男受けする控えめで優しい女。
裕福な夫と結婚し、専業主婦。
何不自由ない暮らしだけど、
心の底では今の自分が嫌い。
(しかも自分では気づいてないのがタチ悪い)
昔の不倫相手と再会し、抱かれるにしろ
自分の欲望を自覚してない。
「相手が強引に誘ったから・・・」という言い訳を並べて
抱かれている。
つまんない。
ベッドシーンの描写は多くても、エロスがない。
もっと自分の欲望を自覚して抱かれろよ。
エロスを感じないベッドシーンって・・・紙面のムダ使いだよ。
ついでに書いちゃうと
表紙のエロを匂わせる白いブラジャーがダサい。
エセ清楚を狙って、オヤジくさい。
さらに書いちゃおう。
塔子は不倫相手の「鞍田」も
夫も愛していない。
彼女が愛しているのは「自分」だ。
不倫して彼女はやっとそれに気づく。
「Red」は恋愛小説でも不倫小説でもない。
不満を抱えた30代女性が婚外恋愛をし、仕事を持ち、
自分の居場所をつくる「独立小説」だった。
現代版「人形の家」ですね。
だからエロスとか禁断の愛とか煽るのは的外れ。
これは「平凡な女」が自由を求めて闘う話なんだよな。
そう思えば、塔子のズルさ・弱さに共感できる。
そして、不倫相手の鞍田と別れるのも分かる。
塔子が欲しいのは「自由」で
鞍田はセックスは与えても、愛も自由もくれないから。
「自分を愛することを発見する」の話だと思って読めばいい。
禁断の愛だの恋だの言わず、
自分を愛するために闘えばいいやん。
だって、自分を一番愛するのってエゴでも何でもない。
自然なことだもん。
当て馬「小鷹」が予想外に魅力的
夫が鈍感で幼稚で、モラハラ傾向。
稼ぎはいいけど大変だ。
それはもう置いといて、
不倫相手の鞍田も魅力不足。
鞍田のいいところ。
会社を経営しててお金持ち。
遊び慣れていて、スマート。
セックスが上手。
そんなところかな。
それ以外よく分からない男だった。
秘密めかして大人の男の魅力を出したかったのかと推測しますが、
魅力不足だったな。
それよりも、当て馬「小鷹」の方がよっぽど面白い。
小鷹は塔子が再就職した会社の同僚で、
仕事はデキるが女癖は最悪。
手当たりしだいに女に手を出し、
人妻の塔子にもしつこく言い寄る。
毒舌だし、空気読まないし、ある意味最悪な男なんだけど面白い。
時々ハッとさせるような言葉を発するし。
人生でほんの一瞬でも本気になれたら、十分じゃないの。
まあ、俺、そんな経験もないですけど
こんな言葉をサラッといえるのはいい男じゃない。
塔子、小鷹と寝ればよかったのに。
小鷹はゲスなんだけど魅力的。
主人公にしたスピンオフがあったら、読みたい。
塔子の夫より、不倫相手の鞍田より、
わたしは小鷹を推したいです。