目次
「おちび」蝋人形を造りつづけた
マダムタッソーの生涯
「おちび」は蝋人形館で有名な”マダム・タッソー”の物語。
「おちび」と呼ばれた子ども”マリー”の目線から
マダム・タッソー自身が語っている。
イギリス人作家エドワード・ケアリーが
想像力をはためかせ、
驚天動地の物語に書き上げた
マダム・タッソー(マリー)はフランス革命の時代に
歴史上の人物の蝋人形を数多く手がけている。
そのうちの多くは、処刑後のデスマスクだ。
- バスチーユ監獄の司令官(惨殺後)
- ランバル公妃(惨殺後)
- マラー(暗殺後)
- ロベスピエール(処刑後)
- ルイ16世(処刑後)
- マリー・アントワネット(処刑後)
- ナポレオン
- ジョゼフィーヌ皇后
なぜマリーは有名人のデスマスクを
つくることになったのか。
写真のない時代、有名人の顔は絵画に残すしかなかった。
ところが、リアルな姿を写し取った蝋人形が登場。
民衆は「歴史の記録、娯楽の対象」として
蝋人形を熱狂的に受け入れた。
蝋人形の型を取る作業・・・・
想像するだけで恐ろしい
あらすじ
マリーは、大きな鼻と立派なアゴをした物静かな女の子。
父の死後母は生計を立てるため、スイスで
人体の臓器を蝋で作るクルティウス医師のところで住み込むが
臓器サンプルの不気味さにクリスチャンの母は耐えられず自殺。
残されたマリーが、医師の臓器サンプル作りの手伝いをすることになる。
やがてクルティウス医師は蝋人形師になると決め
パリに引っ越し、蝋人形館を開設。
マリーは蝋人形館の召使いとしてこき使われる。
そのうち凶悪犯の顔も展示したら
怖い物みたさで大人気になった
その後マリーは人形見学にきた
ルイ16世の妹「エリザベート」に気に入られ、
彼女の蝋人形教師になる。
この挿絵はマリーが描いた王女の顔だ。
マリーと似ていたので、
自分の分身として寵愛したようだ
身分のないマリーは
宮殿の戸棚で寝泊まりをした。
日本の押入れ感覚なのかな・・・?
マリーは国王と知らずに
ルイ16世とも知り合う。
マリーが描いた国王の顔。
(ボテッとしている)
マリーは国王の顔を知らず
錠前師だと思って気軽に話掛けたのだ。
その後ある事件を起こし、マリーは宮廷から追放される。
蝋人形館へ帰還後、パリには革命の嵐が吹き荒れ流血の時代に。
入浴中に暗殺されたマラーをはじめ、
マリーは様々な生首のデスマスクをつくることになる。
マリー自身も王党派と疑われ、処刑を待つ身になるのだが、
マリーは妊娠していたのだ。
激動の時代を生きたマリーは
なぜ生き延びられたのか。
そして最後に蝋人形館をロンドンで開館するのか・・・。
著者のエドワード・ケアリーは
イラストレーター&彫刻家。
作中のマリーが描いたとされる挿絵は
著者が描いたはず。
不気味で可愛くない挿絵が、文章と相乗効果で
信憑性を醸し出している。
マリーは思いやりがある女の子だが、
生き延びるための方法を知っている。
物静かで周りをよく観察する。
手先が器用で、惜しみなく働く。
そしてマリーは師匠から受け継いだ
”蝋の技術”を深く信じている。
蝋は真実を写し取る手段だと。
だから血まみれの生首を前にして
狂わずに作業できたのではないか。
ギロチン処刑が娯楽だった時代
フランス革命の時代、
処刑は一種の娯楽だった。
公開処刑があると聞いたら、
家族総出で観にいくような人も多かった。
日々の生活が苦しく、
強烈な刺激を欲していたのか。
凶悪犯や貴族が処刑される様を見て
スカッとしたのだろうか。
残虐なモノをみたいのは人間の本能なのかも。
わたしも「おちび」を読んで、
当時の蝋人形館があれば
きっと観てみたいと思った。
怖いモノ・残虐なモノをみたい気持ちがあるな
(東京の芸能人ばかりのマダム・タッソー館には
まったく興味が湧かないけれど)
マダム・タッソー時代の蝋人形は
残っていないかなと調べてみたら、
ロンドンに残っているみたいです。
閲覧注意デス
マリー・アントワネットは実際どのような姿だったのでしょうか。
ロンドンのマダム・タッソー館に
行ってみたくなりました。
ロンドンの蝋人形館と言えば、
刑事コロンボの「ロンドンの傘」を思い出す。
マダム・タッソー館だろうなぁ。
マダムタッソーから
死刑執行人サンソンを思い出す
マダム・タッソーは処刑された後で
デスマスクをつくりましたが、
処刑を実行した人の側のストーリーを思いだした。
人が嫌がる職業処刑人を記した本、
「死刑執行人サンソン」を思い出しました。
久しぶりにみたら、
荒木飛呂彦の表紙になって、人気の本みたいです。