目次
鈴木氏が自分の作品を語る。
個人美術館をじっくり巡るオトナの遠足みたい。
装丁を語る。 |
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本の表紙は
本の魅力を一瞬で伝えるものだ。
「装丁を語る」では、鈴木氏がみずからの作品を
デザインの背景から
じっくり語ってくれる。
鈴木氏の本は、
この本も?この本も?というくらい
ベストセラー揃いで、
知らないうちにたくさん読んでいた。
この本で、
白夜行の「黄色」の意味や
「ヘブン」が文字のみのデザインに
決まった背景などを初めて知った。
こんな思いが込められてたのか!
と改めて知り、目から鱗が落ちた。
背景を知ると、美術はもっと楽しくなる。
この本は「鈴木成一」美術館を
じっくり巡るためのガイド本だった。
衝動買いした「私の男」も鈴木氏の作品だった
桜庭一樹の「私の男」
本屋の棚で、インモラルな表紙に目が釘付けになった。
父と娘の近親相姦の話を暗示する
背徳感があふれる表紙。
![](https://i0.wp.com/hirunenikki.com/wp-content/uploads/2019/10/IMG_5247-2.jpg?resize=472%2C629&ssl=1)
裸の女の背中もエロい。
![](https://i0.wp.com/hirunenikki.com/wp-content/uploads/2019/10/IMG_5250-2.jpg?resize=426%2C568&ssl=1)
この甘美な背徳感に惹かれて、
自分のモノにしたくなった。
そして現在も
手元に置いている。
「装丁を語る」の解説を読むと、
この絵を使用できたのは
ビギナーズラックだという。
この絵はマルレーネ・デュマスという
アムステルダムの作家が描いた。
デュマスは政治色が濃く
商業利用にOKをださない作家だそうだ。
ダメ元で依頼したところ
なぜか奇跡的にOKが出て
この表紙になった。
その後、日本でさまざまなデザイナーが
アプローチしたものの
すべてNGだったそうだ。
文庫本化のタイミングでは
「もう駄目」と断られたそうだ。
私の男 |
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文庫本の表紙もがんばっているけれど
単行本の衝撃には及ばない。
小説のまがまがしさと
アートの力が融合した傑作だった。
単行本の最後のページに
「装丁」解説があったら、
単行本を買う楽しみがあるだろうと思ってしまった。
装丁を語るのは野暮かもしれないけれど、
知ると世界が広がる気がするんだ。
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続編のこちらの本も面白かったです。
鈴木成一デザイン室 |
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