目次
キャットパーソンって、
猫人間が出てくる小説だと思ってた・・・・
『ニューヨーカー』で発表された
表題作がSNSで“炎上”した
新人作家の衝撃のデビュー短篇集。
その紹介文で読みたい!と思った。
小説だと勘違い
したんだよね(^^;)
(注)猫人間は出てきません。
本の帯にも、猫人間のことは書いてない。
↓
猫の表紙じゃない?
キャットパーソンって、結局何のこと?
「キャットパーソン」は
男女のすれ違いを書いた短編だった。
(注)猫人間は出てきません。
登場人物は、若い女子大学生“マーゴ”と
34歳のシャイな男性”ロバート”。
2人はマーゴのバイト先の映画館で
出会い、スマホでやりとりする仲になる。
スマホのメッセージで
もりあがる内に、
「恋の予感」にトキメキながら
初デートに臨むのだが、
思い描いたデートとはかけ離れ・・・。
「あるある感」満載の
デートが気まずい・・・(>_<)
女性の視点で読むと、
「女性の気持ちが分からない、
自己中心のハズレ男に
当たっちまった」と思う。
自分の体験を振り返っても、
あった、あった。
こんなこと。
最後の男性の捨て台詞は
出来の悪いホラーみたいで
寒い(>_<)
ただね、これを男性が読むと
読後感が360°違うらしい。
男性からすると、
「気まぐれで
思いやりのないビッチ」
に当たっちまった。
・・・になるんだそう。
「キャットパーソン」に
当たっちゃったってことね。
アメリカのSNSで炎上したのも、
この男女の感じ方の違いで
激しく論戦になったらしい。
なるほどなー。
最初はなぜこんな
普通の冴えないデートの結末が
話題になるんだろう・・・と思ってたけど。
なるほどなー。
ちなみに作者
クリステン・ルーペニアンは
36歳の女性作家。
そう思って読むと、
女性視点に加えて
男性側の気持ちも書けるのが
すごいなぁ。
クセモノばかりの短編集。
どれもダークでファニーな結末だ。
短編は12編。
- キャット・パーソン
- キズ
- ナイト・ランナー
- 噛みつき魔
- ルック・アット・ユア・ゲーム・ガール
- バッド・ボーイ
- 鏡とバケツと古い大腿骨
- サーディンズ
- プールの中の少年
- マッチ箱徴候
- 死の願望
- いいやつ
ハッピーエンドはなし。
登場人物はみんな変。
病んでいる。
わたしが面白かったのは、
「噛みつき魔」「バッド・ボーイ」。
もちろんこの2編も
後味の悪さは折り紙付きデス。
「噛みつき魔」本能的に噛みつきたい!
噛みつき魔は、冒頭から飛ばしてる。
エリーは噛みつき魔だった。
おなじ幼稚園の子たちに噛みつき、
いとこたちに噛みつき、ママに噛みついた。
四歳になったとき、週に二回、
専門のお医者さんにところに行って、
噛みつき癖を”治療”することになった。
本能的に”噛みつき”が
大好きなエリー。
彼女は成長するにつれ
理性で”噛みつき”を封印する。
でも・・・
夢は職場で
同僚に噛みつくこと。
その夢がどんどん膨らんで・・・。
噛みついても
許される状況を夢想して・・・
とうとう職場で
同僚男性に噛みついてしまう!
エミリーはどうなるの?
そう来たか!!
もちろん
ラストはちゃんとホラーです(>_<)
「バッドボーイ」
気弱な友人を支配するゲームの末路はホラー。
「バッドボーイ」の主人公は、
彼女と別れたばかりの気弱な男性だ。
失恋でへこんだ彼を気遣い、
友人カップルは彼を
アパートのソファに泊める。
最初は悪乗りで
カップルは寝室でセックスを始める。
それを彼はこっそり覗き・・・
それが3人の生活パターンになる。
覗かれている権利(?)から
カップルは彼を細かいルールで
縛るようになる。
寝るのも食べるのもおしっこをするのも、
わたしたちが命じたときにしか
許さなくなった
暴君カップルの誕生だ。
彼はおとなしく従っているが
エスカレートする要求に
耐えかね、
カップルから離れようとする。
そこから少しずつ
歯車が狂い始め
思わぬ悲劇が起こる・・・・・(T_T)
ラストはめちゃくちゃホラーです。
後味の悪さも半端ない。
タイトルの付け方も
意地悪だ。
こんな時に言う言葉なの?
欲望の先に待ち受けるダークで
ファニーな結末が好きなあなたにどうぞ。