目次
革命後、ロシア貴族が高級ホテルに軟禁される
ビル・ゲイツ氏、激賞！！
全米140万部突破!！
《ワシントン・ポスト》など5誌の年間ベストブックに選出。
読みたくなるやん？
どこが面白いのか。
それはズバリ･･･
ロシア革命後の落ちぶれ貴族が
生き残る戦略ストーリーだ。
｢モスクワの伯爵」あらすじ
1922年、モスクワ。
革命政府に無期限の軟禁刑を下されたロストフ伯爵。
メトロポールのスイートルーム暮らしだったが、
これからはホテルの屋根裏で暮らすことに。
ホテルを一歩出れば銃殺刑が待っている。
家族もなく、1人で屋根裏部屋で過ごすのは厳しい。
そんな不遇を乗り切るために
彼が選んだのは、紳士の流儀を貫くこと。
人をもてなし、身のまわりを整え、人生を投げ出さない。
彼は従業員たちと友情を深め、味方を得る。
宿泊客と交わり、新たな親友も得る。
親友になったのは
9歳の賢い少女ニーナ。
高級官僚の娘で、ホテルの隅々を知っていた。
パーティルームの会話を
盗み聞きできる方法を教え、
マスターキーまでプレゼントしてくれる。
その後ニーナはホテルから去り、
大人になった彼女は共産党の同志として
熱烈に働いていた。
何年も逢っていなかったが
突然ニーナが訪ねてくる。
自分の娘ソフィアを預かって欲しいと頼むのだ。
その訳は、ニーナの夫が突然逮捕されたことにある。
夫は強制労働所へ送られた。
(スターリンの恐怖政治の時代ですから）
ニーナは夫の命が心配なので、
夫の消息を探りに行き、
落ち着いたら娘を迎えに来るという。
6歳の少女を預かることになった
伯爵は慣れない子育てに奮闘するうちに
ソフィアを熱烈に愛するようになる。
伯爵はソフィアを広い世界にデビューさせたいと思う。
ホテルから一歩も出られない伯爵だが、
ソフィアのために取った戦略とは･･･？
捨て身の戦略に泣ける･･･[/ch]
銃殺刑を免れた理由は
”有名な詩”を書いたから
ロシア革命で皇帝一家は銃殺された。
貴族だって同じ運命をたどるはずなのに、
ロストフ伯爵はなぜ銃殺されなかったのか。
それが大きな謎だった
答えは、革命を呼びかける詩「今それはどこに？」を伯爵が若い頃に発表したから。
貴族出身でありながら、革命を鼓舞する詩を書いたことで
銃殺を免除されたのだ。
その代わり、ホテルの中でしか生きられない。
一歩でも外に出たら銃殺だ。
ホテルからは屋根裏部屋に
強制的に引っ越しさせれ、
最小限の家具しか持って行けない。
先祖伝来の愛着のある家具ともお別れだ。
伯爵は過去の栄光と決別しながら
優雅さと心づかいは忘れない。
それが人との縁につながっていく。
クセのある登場人物に
ニヤニヤ惹きつけられる
モスクワの伯爵はたくさんの短編でつながり、
少しずつ話が進んでいく。
伯爵自身も優雅でユーモアがあり
めっちゃチャーミングだ。
貴族の優雅な精神に加えて
素直な柔軟性があり、どんどん進化していく。
そして、伯爵と同じくらい
ホテルのスタッフ、
宿泊客の面々がクセモノ揃いで
読んでいるとニヤニヤしてしまう。
好きな登場人物をちょっとだけ書きだしてみる。
賢い少女”ニーナ”
伯爵の初めての小さな友だち。
9歳のおしゃまで賢いニーナ。
彼女と友だちになって、伯爵は柔らか頭に変わっていく。
そして後にソフィアを託され、伯爵の人生は大きく変わる。
ドン底から復活 女優”アンナ”
伯爵とアンナの出会いは最悪だった。
トップ女優のアンナは鼻持ちならない女だったが
遊び心でに伯爵と一夜を共にすることになり、友人関係になる。
その後売れなくなったアンナはドン底を経験するが
アンナは賢さで復活。伯爵と長い友情を育む。
旧友･文学者”ミハイル”
若い学生時代からの旧友ミーシカ。気鋭の文学者だ。
彼は時代が変わっても、友情は変わらず会いに来る。
ただ彼は共産党の主義から外れ、地方へ左遷になる。
不遇のミーシカが選んだ反撃手段は文学だった･･･。
ニヤニヤさせられる
料理長 美食に人生を捧げる”エミール”
味の分かる伯爵は料理長のエミールと親友になる。
だんだんと信頼されるようになり、
高級レストランの席次やメニューの相談役となる。
働いたことのない伯爵だが、仕事をつくったのだ。
伯爵の姿勢が素晴らしい。
裁縫師”マリーナ”
伯爵は若い頃からオシャレである。
貴族だったころから、裁縫師のマリーナと仲良しだった。
マリーナを認めていた
伯爵がすごいよね
伯爵のズボンのお尻が破れたときも
小さなソフィアの扱いに困ったときも
マリーナは母性で助けてくれる。
愛憎がうずまくロシア社会で
個性的な登場人物と
優雅な伯爵が知恵で課題を解決していく。
最後のクライマックスまでは
厳しい社会状況の中でも
ホテルの中は美しく優しく暮らしは進む。
面白いんだけど、
このまま平和にラストまで進むのかしら・・・？
と思ったら、
ドドドドーっと盛り上がる！！
愛のため伯爵は実力行使で、道を切り開く
軟禁生活が始まったとき、伯爵は40歳前。
ソフィアを育てる間に、60歳を超えた。
体の節々が痛くなる年代だ。
軟禁生活は30年を超えになった。
伯爵は助けが必要な時
友人達に正直に話し、力を貸してもらう。
そして自分が役立てるときには、惜しみなく力を貸すのだ。
それが伯爵の流儀だった。
ただし、ソフィアを広い世界に旅立たせるために
手荒な手段が必要になった。
伯爵はソフィアへの愛のために
老骨にむち打ち、自分だけで頑張る。
なぜ今回は友人達を頼らないのか。
大切な友人達を守りたいからだ。
伯爵に手を貸したら、
政府から弾圧を受ける恐れがあるから。
(どうしても必要な場面で、
1人だけ助けを借りる･･･）
自分で盗みも行い、暴力も辞さない成り行きになる。
この本を最後までめくった人へご褒美が待っている。
