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【感想】「目の見えない人は世界をどう見ているのか」未知の世界を手探りで読む

目次

盲導犬目当てで「盲人探偵」を観る


はじめに自己紹介をする。

ヒルネ
ヒルネ
わたしは犬好き

カッコいい犬が観たくて、
ドラマを観ることも。

ヒルネ
ヒルネ
犬好きにおすすめしたい海外ドラマはこれ
犬バカがニコニコしちゃう海外ドラマ 6選こんにちわ。ヒルネです。 愛犬とイチャイチャするために、 会社を辞めたという「犬バカ」です。 https://hirune...

「盲人探偵」は、「盲導犬」が本格的に出演する日本のドラマ。

“盲導犬メリア”見たさに、見始めた。

ヒルネ
ヒルネ
このメリアの仕事ぶりがかっこいい。
メリア中心で見てて飽きない。

このドラマでは、事故で失明した元刑事が
盲人探偵として活躍する。

”古谷一行”が盲人探偵を演じ、
盲導犬メリアと一緒に歩き回り、
事件を解決する。

盲導犬と一体になった彼の演技が自然で
本当に目が見えないようだ。

体の使い方、重心のかけ方などが
目の見えない人の動きになっている。

盲人探偵を13話見続けて、
こう思うようになってきた。

目の見えない人が歩き回るとき、
頭の中はどうなってるんだろう?

「目の見えない感覚」を深くインタビューした本

そんなとき、この本を知った。

「目の見えない人は世界をどう見ているのか」

著者の伊藤亜沙さんは、美学を専攻する研究者だ。
(彼女は東京工業大学リベラルアーツセンターの准教授だ。)

彼女が”見えない人”を対象に
”見えない世界”の感じ方を深くヒアリングし、
わたしたちに分かるように説明してくれる。

想像以上に興味深かった”見えない世界”。
わたしの興味発見を書き留めておきたい。

見えないと「脳の中」に余裕ができる

人間は見えることで様々な情報を受け取る。
情報は必要だが、現代社会では見えるものが多すぎて
情報の洪水状態になることも。

それに対して、見えない人は視覚情報がないため、
情報量が少ない。

見えない世界というのは情報量がすごく少ないんです。
・・・・中略・・・
意識の地平線より向こう側にあるものに
はこだわる必要がないと考えるようになりました。

ー木下氏 ダイアログ・イン・ザ・ダークのアテンドを務める全盲者

脳内の情報は断捨離されて、快適な状態になっている。

ヒルネ
ヒルネ
情報に踊らされない
安らかさがある

脳内に余裕がある。
それは目が見えていると
なかなか到達できない。

この分析はわたしの心を揺さぶった。
見えない人の強みだと思う。

視野を持たないゆえに視野が広がる

見える人には死角がある

見える人は、自分の立ち位置から見る。
つまり、視点がある。
そして、視点からの眺めを平面的にとらえる傾向がある。

また、視点が固定されているから
「死角」も存在する。

ヒルネ
ヒルネ
見えるからこそ、
死角が存在するのは
言われてみればなるほどだ

見えない人には死角がない

見えない人には視点がない。
脳内で俯瞰的に物をとらえている。

そして、”表/裏”という思考もない。
”内側/外側”という考えもない。
俯瞰的にみているからだ。

俯瞰で360°でイメージするから
死角がない。

見えない人のほうが
「空間」を大きく
俯瞰的にとらえている。

ヒルネ
ヒルネ
見えないからこそ死角がない

これにも常識を揺さぶられた。
脳内の思考は視覚に縛られないから
大きくノビノビと想像されるのか。

この本で、別の世界を垣間見ることができた。

そしてもう1つの発見は
見えない人の感覚について。

見えない人は「特別な聴覚や触覚を持っている人」か

見えない人は、特別に聴覚が発達してるとか、
点字を読むから触覚が発達している・・・
というイメージがありました。

でもそのイメージ、間違いらしい。

見えない人の点字を読める割合はわずかに1割程度。
今はテクノロジーの発達で
点字を習得しなくても「読み上げ機能」などで情報を受けとれる。
「点字離れ」が進んでいるそうだ。

そして、点字を読むときは
触覚を研ぎ澄ませるのではなく、
文章のパターンを想像しながら読み取っている。
推測しながら脳で読んでいるのだ。

だから、目が見えない=点字=触覚が鋭いというのは間違いらしい。

なるほど・・・。
それはイメージ先行だったのだな。

といいつつ、目が見えない人は
「耳」「手触り」「皮膚感覚」がどんどん進化して
「見る」感覚に近づいていく。

それは中途失明者の人が語っている。
「耳」で眺めたり、
「手で触ることで」見る、
それが見えていた記憶に近くなっていく。

目が見えない=特殊な感覚を持つ人ではなく、
「感覚を進化させる人」というのが近い。
リハビリして獲得する感覚らしい。

ふむふむ。
最初から特別な人ではなく、
後天的に発達する感覚なのだなぁ。

その他にも「目の見えない人が絵画鑑賞する愉しみ」や
「運動をするときのバランス感覚」など、
面白い分析が続きます。

違う世界のことを「そういう世界なのか!」と
フラットに探求する試みの本。

盲人探偵を見た後で読むと
さらに奥行きが増しました。

そしてまた盲人探偵を見ると、また何か発見があるかも。

ABOUT ME
ヒルネ
ただいまセミリタイア中。 やりかったことをすることで、自分のこれからを模索中。 カゴ編み、ひとりめしを研究中。おばあちゃん犬のシズカと暮らしてます。

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