「いちばん好きな小説は?」
そう聞かれたら、毎回「ぼくの美しい人だから」を推していた。
20代のころのハナシです。
「ぼくの美しい人だから」は映画になった。
ハンサムな若いエリートとオバサンの恋という
不釣り合いな組合わせ。
年も違うし、階層も違う。
話も全然かみ合わない。
2人で楽しいのは、セックスだけ。
未来なんてないけれど、中毒のようにヤリたくなる。
狂おしい恋はどこに向かうのか。
目次
あらすじ(ネタバレあり)
一言でいっちゃうと、若いエリートとオバサンの恋物語。
まずは登場人物の紹介から。
マックス・27歳:新進のコピーライター
誰もが認めるハンサムくん。
妻を2年前交通事故で亡くした。
元は国語教師だったが、広告会社に転職。
新進気鋭のコピーライターとして活躍中。
ノーラ・41歳:ハンバーガーショップ レジ係
子どもを亡くし、離婚。
現在荒んだ1人暮らし。
ハンバーガーショップで勤務中。
超絶的テクニシャンの床上手。
名女優スーザン・サランドンだから、
”無教養なオバチャン”役でありつつも
時折みせるチャーミングな表情にグッとくる。
とはいえ・・・まったく接点のなさそうな2人。
寝るようになったの?
出会いはハンバーガーショップ
マックスは友人のバチュラーパーティで
ハンバーガーの箱が空っぽだったことに腹を立て
ハンバーガーショップ「ホワイトパレス」に文句をいいに行く。
そこで出会ったのがノーラだ。
このときお互い頭に血が上り、
売り言葉に買い言葉で怒鳴りあう。
マックスがノーラを言い負かし、
彼女が空箱のバーガー代1ドル75セントを返金。
そこで初めての出会いは終了。
バーで再会。ノーラに襲われる。
バチュラーパーティ終了後、マックスは気分が沈んだまま
手近なバーで飲みはじめる。
「デカい尻をしたエロいな女がいるな」と眺めていたら、
それはさっきのレジ係“ノーラ”だった。
その晩マックスはベロベロに潰され
ノーラの家に泊まるはめに。
「絶対何もしない」と約束させたのに、
超絶テクニシャン“ノーラ”に寝こみを襲われる。
マックスは最初は抵抗していたが、ノーラのテクニックに降参。
妻を亡くしてから2年振りに、貪るようにセックスした。
それからの2人はヒマがあれば、
酒を飲みお互いの肉体に溺れていく。
ノーラは恋人?何なんだ?
ノーラとは、体の相性は抜群だ。
美しかった妻に覚えなかった劣情をノーラには抱く。
でも2人が合うのはセックスだけだ。
2人の会話は噛み合わない。
綺麗好きのマックスに対して
ノーラの部屋は散らかり放題。
教養レベルも違うし、話せば喧嘩ばかりだ。
それでもマックスはノーラと会わずにいられない。
それでも・・・ついに破局がやってくる。
高級レストランで会った知人に、
マックスはノーラを恋人と紹介できなかった。
無教養でガサツなノーラを恥じたのだ。
ノーラはレストランから黙って消える。
それが彼女の限界だった。
そしてハンバーガーショップを辞め、
引っ越しをして、マックスの前から姿を消してしまう。
ノーラはNYで再出発
マックスは狂ったようにノーラを探す。
ノーラの代わりはいないのだ。
数ヶ月後、ニューヨークでノーラを見つける。
ノーラはレストランで生き生きと働いていた。
そして、新しい恋人と暮らしていた。
等身大の幸せを手に入れていた。
それなのに、マックスはノーラを諦められない。
無謀にも会社を辞め、NYで職を探す。
職探しは難航し、小さな広告会社でやっと見つかる。
職が決まってから、マックスは最後の賭けに出る。
就職を祝って欲しいとノーラを食事に誘う。
ノーラは今の恋人を裏切れないと断るが、
マックスは狭いアパートでノーラを待ち続ける。
来ないのか。
・・・・気になったら、古本か図書館で借りて
読んでみてください。
なぜそんなにハマったのか
改めて読み直して思った。
こんな恋、ダメやろ。
NYで付き合い直しても、
また破局するだろうな・・・。
当時オススメした友だちの感想を思い出す。
「この本をそんなに好きなんて、ヤバくない?
こんな恋愛、幸せになれないよ。」
・・・ホンマその通り。
思い返せば、
アホになる恋に憧れてたのかも。
自分は恋愛してもリミットが外れない人間で、
アホになれなかった。
狂ったようにヤル衝動もないし
(体力もない・・・・)
職を投げ打って遠い街まで追いかけるバカさもなかった。
恋愛でアホになれる強さ。
自分を無くして溺れる恋愛。
それに憧れてた。
日本語タイトルの素晴らしさにうなる
「ぼくの美しい人だから」は日本だけの映画タイトルだ。
原題は「ホワイトパレス」
ノーラが働くハンバーガーショップの名前だ。
(ホワイトパレス=白い宮殿という意味で、
ハンバーガーショップの名前としては????なんですが、
実際にあるチェーン店らしい。)
例えれば「マクドナルド」という題名の小説&映画を
「ぼくの美しい人だから」に大胆に意訳したセンスにうなります。
このタイトルのおかげで
日本でも小説も映画もヒットしたんだもんな。
オマケ
当時のジェームス・スペイダーは
少女漫画に出てくるような金髪の美青年だった。
代表作は「僕の美しい人だから」「セックスと嘘とビデオテープ」
「セックスと嘘と~」はカンヌで男優賞を獲り、
顔だけじゃなくて演技も認めらた。
「セックスと嘘と~」の、不能のイケメン役がハマってた。
このまま美男路線でいくのかなと思いきや、
ドラマ「ボストンリーガル」では
妙にオチャラけた弁護士がハマってた。
ということは・・・コメディ路線?と思ったら
またまた大転換。
その後の「ブラックリスト」のレッド役で
坊主になっちゃった。
チャーミングな悪役なのだ。
ハゲてて、恰幅がよくなって。
かつての美男子はハゲようがお
腹が出ててもカッコよかった・・・・。
これからさらに年を重ねて、
どんなオジイチャンを演じるのか楽しみだ。