目次
不仲だった兄が死去。
5日間で全てを片付ける。
翻訳家の村井理子さんの体験談。
兄の死去から始まる怒濤の5日間だ。
「兄の終い」あらすじ
宮城県の塩釜警察署から
深夜に電話が入る。
本日17時に自宅で遺体が発見されました。
警察署で死因を検案し、脳出血だと確定。
つきましては、塩釜まで遺体を引き取りに来て欲しい。
・・・という事情で、村井さんは滋賀県から
宮城県の塩釜署へ向かう。
不仲だった兄だが、一番近い身内は自分なのだ。
離婚した元妻の加奈子ちゃんと一緒に、
村井さんは凄まじいスピードで
兄の終いに集中する。
2人が5日間で成し遂げたこと
- 兄の遺体引き取り
- 火葬・お葬式
- 汚部屋だったアパートの掃除
- 大家さんへ部屋を返却
- 兄の車を売却
- 兄と暮らしていた長男を迎えに行く
- 長男の小学校で転校のお別れ会
厄介な後始末を、
兄の元妻加奈子ちゃんと抜群のチームワークで
解決していく様は爽快だ。
過去に兄と遺恨があって、
色々揉めたことも覚えている。
ただ、死んでしまった今は
大量の遺品を捨てながら
兄が再就職して働くつもりだったことも知る。
兄なりに再起を期していた。
過去の恨みは忘れられないけど、
ヤルべきことはやる。
村井さんと元妻加奈子さんの覚悟が
真っ当で潔かった。
わたしもいざ問題が起こったとき、
覚悟して向き合うぞ。
そう思えるようになって良かった。
・・・・というのも、
わたしにとって、兄の終いは他人事じゃないからだ。
親戚に同じようなオジサンがいます
村井さんにとって、
困った存在は実の兄だった。
わたしの場合は、母方のオジサン(母の弟)が同じような存在だ。
おじいちゃんが中年になっ
初めて誕生した”男の子”
母いわく、甘やかされて育ったらしい。
大人になってもほとんど働いたことがなかった。
叔父はおじいちゃんがお金持ちだったせいで、
雇われ仕事が続かない。
お見合いで結婚もさせた。
そのうえ、一戸建ても与え毎月生活費も渡していた。
不自由のない生活だけど、
個性の強いおじいちゃんに抑圧されていたのかも。
おじさんの性格は明るく面白いところもあったけど、
自信がないタイプ。
自分のチカラを試す機会もなく、
鬱屈を溜めていたようだ。
阪神淡路大震災後、
おじいちゃん、おばあちゃんが相次いで亡くなった。
その後、オジサンの鬱屈が爆発。
遺産分けの時、オジサンは土気色の顔をして
欲に取り憑かれてた。
あんなに人相が悪くなった人を初めてみた。
結局、遺産はオジサンが多くを相続した。
賃貸アパート1棟と一戸建ても含まれてたから、
浪費しなければ、普通に生活できたはず。
なのに・・・・おじさんは経験もないのに
不動産ビジネスを始めると言う・・・。
危険・・・。
うちの母もわたしも密かに心配してた。
財産は身ぐるみ剥がされるだろう・・・
予想は的中。
怪しい人と養子縁組をして
養子になって、財産を全部取られたらしい。
奥さんとは離婚。
(幸いにも子どもはいなかった。)
所有していたアパートは
後に税金滞納で競売に掛けられました。
すっからかんだ。
オジサンはお金がなくなると怖かった。
田舎の親族を尋ねては、数十万円単位でお金をせびる。
そして、ついにうちの母も標的にになった。
おじさんの言い分はこうだ。
「おじいちゃんには隠し遺産があった。
うちの母が隠して騙したんだろう。」
無茶な言いがかりだよ。
でも、ウチの家に放火しそうな剣幕だった。
隠し財産なんて無いのに。
あの頃は母も父も私も悩んだなぁ。
どうしたらいいんだろう?
わたしたちが取った対策はこうだ。
まず、弁護士さんを交渉窓口にした。
条件は、母がおじいちゃんから受け取ったお金【数百万】を全額渡す代わりに、
「今後一切わたしたちと絶縁する」という書類に署名をすること。
カンタンにいうと、「数百万円はあげるから
縁を切って!」ということだ。
それを投げ出してでも
オジサンの暴言から逃げたかったのだ。
ぶっちゃけていうと「絶縁書類」に署名をしても、
法的な拘束力はない。
(弁護士さんからは「本当にこんな条件で
大金を渡していいんですか?」と何度も確認された)
冷静に考えれば、オジサンは
サインしてお金をもらうのが
賢いやり方だ。
ところが・・・弁護士を窓口にしたせいか
オジサンはビビったらしく、
一切連絡がこなくなった。
ホッとしました。
それから10年以上連絡がなかったが…
ある日某市役所から母に電話があった。
オジサンは健康を害し、
病院に入院しているらしい。
財産もなく、生活保護を申請中。
親族がいるなら面倒をみてくれないかという
確認の電話だった。
母はいままでの経緯を市役所の担当者に話した。
関係を持つとまた恨まれる可能性があって怖いので
生活保護をお願いしますと依頼。
担当者も納得したようだ。
それから連絡はない。
消息も不明だ。
死亡したなら、連絡がくると思うのだけど。
生きているのだろうか。
「兄の終い」を読んで、オジサンのことを久々に考える。
今オジサンは60代後半だ。
オジサンが死去したら、
親族が遺体を引き取るんだよね。
そうなったら、
母も母の妹も年寄りだ。
気力も体力も持たないだろう。
可能性として、わたしの出番かも・・・・(-_-;)
そういった意味でも、
「兄の終い」は参考になる。
遺体の引き取りの手順、
汚部屋の整理はプロに頼む・・・
リアルに想像した。
うん、これならわたしも頑張れそうだ。