目次
東大生強制わいせつ事件をモデルに描いた
「非さわやか100%」小説
東大生5人が起こした強制わいせつ事件。
事件の詳細はリンクで確認していただくとして・・・、
女性を1人の人間として
認めず、惨い扱いをした事件だ。
姫野カオルコは、この時間に深い関心を寄せ、
裁判を傍聴までして
この事件をフィクションとして描いている。
万が一被害に遭っても、自分を責めるな。
自分の人生を他人に壊されないで。
酷い人間を見抜けず、
美咲のように被害者になることもある。
それでも、あなたが悪いんじゃない。
自分の価値を見失わないで。
無責任な他人の誹謗中傷で
傷ついても、
壊されないで。
被害者を面白おかしく
傷つける風潮に抗議をする。
そういう人間が増えれば
被害者の救いになる。
言葉を掛けられる
存在でありたい。
それから、はからずも
こういうメッセージも隠されていると読み取った。
選民意識をもちそうな人間は
自らの権力を自覚するべきだ。
姫野カオルコは東大生を非難するために
この小説を書いたわけではない。
ただ、悲しいことに
人の気持ちが分からない
「ツルツル」なエセ・エリートが
事件を起こしたことも事実だ。
そういう立場にたつ人間は
自らのチカラを自覚して
振る舞って欲しい。
そういう思いもあったと推測される。
話題になった東大ブックトークを
後追いで振り返ってみる
「彼女は頭が悪いから」は、“東大”でブックトークが行なわれた。
姫野カオルコ、東大の教授、小島慶子等の識者が出席して
2時間語り合ったそうで、
様々な意見がネットで飛び交っている。
東大ブックトークのテーマは、
当初、この3点が想定されていた。
実際はブックトークの出席者の
ブログやツイートを読んでいると、
大きく脱線した議論になった模様。
脱線は、東大でジェンダー論を教えている
瀬知山教授が「東大の描写が正確じゃない。
読んでいて事実との乖離があるので、
小説としてリアリティがない。
そんな小説で論じられない。」
と不機嫌に噛みついたところから
はじまったようだ。
瀬知山教授のファクトチェック
■三鷹寮は狭いのに、広いと書いている。
大きな間違いだ。
■女子学生の割合は、18%なのに
1割と書いているのは間違い。
■そもそも、東大生は東大内部で
挫折を経験している。
挫折知らずと書くのは間違い。
ここでリアリティにこだわりすぎ、
「東大のことを正確に書けてない小説のくせに、
東大のことを語るな!」みたいな
雰囲気を醸し出した様子。
出席したマスコミや
一般読者もよほどインパクトが
強かったのか
web上にレポートが各種あがっている。
瀬知山教授について違和感を感じた人や
普段の教授はジェンダー論に沿った人だから
不機嫌な態度で誤解されてたという意見まで幅広かった。
東大生強制わいせつ事件で議論紛糾
――小説『彼女は頭が悪いから』が果たした役割とは?
東大生に「挫折」はあるのか? -文春オンライン
『彼女は頭が悪いから』ブックトークに参加して見えた
「東大」という記号の根深さ —はまりり
現実は小説より奇なり東大ジェンダー理論教授のマンスプレイニング 公開処刑現場—トヤマキの独り言
トヤマキさんのブログで初めて知った。
当日の書き起こしや後日の取材を読んでいると、
大事なテーマが議論されないままに
終わった感じ。
・性の尊厳、セクシュアル・コンセントとは?
(性暴力事件の再発防止のために何が必要か)
・「学歴社会」と性差別について
せっかくの東大ブックトークなんだから
ここを掘り下げるべきだったと思う。
後日の瀬知山教授へのインタビューでも
本人もそこは反省してた。
「東大生も挫折を経験してる」
「ツルツルの心」なんて書くな!ってところに
妙に熱くなって、論点をずらしてしまった。
結果、大事なブックトーク掻き乱していたのはモッタイナイ。
不機嫌で攻撃的な態度も含め、
マンスプレイニングと言われても仕方ない。
姫野さんも、東大生をひとまとめにして
貶めようとしているのではないし、
1人の読み手として、東大生=酷い奴らとは受け取れなかった。
ちゃんと加害者の「つばさ」は
中学時代にいじめにもあってるけれど、
その感情をなかったことにして無視して
ツルツルの人間になろうとした経緯もあった。
読み方が浅いのは、アンタだよ(笑)
「東大」とまとめられたときの
東大への思いの複雑さ、深さ、うっとうしさが
逆によく分かるブックトークだったみたい。
ただ、ジェンダー論を研究する教授が
自分で勝手に罠に掛かって、
自分の中の学歴主義を露出しちゃったのは
皮肉だな。
——————————————————————-
「彼女は頭が~」は重苦しい読書でした。
姫野カオルコの小説としての面白さ、
豊かさは、「昭和の犬」「リアル・シンデレラ」の方だな。