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【感想】続・横道世之介 吉田修一 幻の2020東京オリンピックを体験する

目次

あの横道世之介に続編?!(^。^)

ちゃらんぽらんのようでいて
善良なヤツ、それが『横道世之介』だ。

世之介と関わった人は、後から思い返すと
彼といた時に人生が変わるきっかけを受け取っていた。
幸運の青い鳥みたいな人間だ。

ヒルネ
ヒルネ
世之介にはそんな自覚はまったくないけど。

前半のバカバカしい明るさと対象的な
ラストに涙を誘われた。

1冊で完結だと思っていたら、
続編が出るなんて予想外だった。

「続・横道世之介」は大学卒業後就活に乗り遅れ、
パチンコとバイトで食いつなぐ日々から始まる。

バブルの売り手市場に乗り遅れ、
バイトとパチンコで食いつなぐ世之介。
グズグズしている間に、24歳になった。
いわゆる人生のダメな時期にあるのだが、
なぜか彼の周りには笑顔が絶えない。

鮨職人を目指す女友達「浜ちゃん」、
大学時代からの親友「コモロン」、
美しきヤンママ「桜子」と息子の「亮太」。

世之介はヤンママの桜子と付き合うようになり
2度もプロポーズするが振られたり
桜子の実家の自動車修理工場でバイトしたり、
だんだん家族になっていくのだが・・・・。

そこから27年後。
2020オリンピックに沸く東京。
マラソンで小さな奇跡が生まれる。

そうなんです、ここでは、
幻の2020東京オリンピックが開催されていた(^。^)

出版時期は2019年2月。
そのころはまさかコロナでオリンピックが延期になるなんて
予測できないもんな・・・。

ヒルネ
ヒルネ
幻の2020オリンピックのシーンは
読みながら不思議な気持ちになりました。

世之介はわたしと同年代だった

”バブルの売り手市場に乗り遅れ・・・・”のくだりで気づいた。

ヒルネ
ヒルネ
あれ?世之介って、わたしと同年代だ!

わたしはバブルの売り手市場が終わるときに
ギリギリ就職だった。
(女性の就職は氷河期に入ってたけどね・・・)

同年代だと思って読むと、
リアルタイムで平成を過ごしているせいか
地獄の特訓風の自己啓発セミナーの様子や
100均ショップの登場による価格破壊、など
歴史の流れが懐かしい。

そうか、世之介は同年代だったのか。

横道世之介の意外な趣味は・・・・

世之介とヤンキーママ桜子は
ドライブがきっかけで付き合うようになっていた。

桜子はバリバリのヤンキーママで、美人だが口が悪い。
鈍くさい世之介とは釣り合わなさそうだけど・・・?

この二人、一見、誰がどう見ても共通することがなく、
なぜそんな二人が曲がりなりにも付き合えているのだろうかと、
誰もが不思議に思っている。
だが実はこの二人には買い物という共通の趣味があるのである。

ヒルネ
ヒルネ
二人の趣味は買い物なのか。
しかも、スーパーで買い物するのが好きなんだ。

ああ、分かるなぁ。
買い物の趣味が合うのはいいよね。
わたしもスーパーでいろいろ商品チェックしながら、
のんびり買い物をするのが好き。

コロナ騒動でスーパーに行く回数を減らした時は
楽しみが減ったもんなぁ。

「続・横道世之介」で好きなシーン

世之介は、桜子の連れ子”亮太”を可愛がる。
裏表のない世之介はこどもに好かれるのだ。

ある日、自分より弱い子のおもちゃをとった亮太を
桜子はヤンキー流儀で容赦なく叱る。

泣きじゃくる亮太に
世之介がかけた言葉にハッとした。

「いいか、亮太。弱い人間っていうのは、
弱い人からおもちゃを取ろうとする人のことだぞ。
逆に、強い人間っていうのは、弱い人に自分のおもちゃを
貸してあげられる人のこと。
分かるか?」

こんなことをさらっと言える世之介、
やっぱりただ者じゃない。

善良な人間は愚鈍なように見えて、
実は強い人間なんだなぁ。

あらためてジーンときた。

世之介のプロポーズの言葉も素敵なのだけど
桜子は「しばらこのままの方がいい」と躱しちゃうんだな。

タイミングなのか、運なのか。
世之介の運の無さもふくめて
読者は世之介を愛しく思う。

ABOUT ME
ヒルネ
ただいまセミリタイア中。 やりかったことをすることで、自分のこれからを模索中。 カゴ編み、ひとりめしを研究中。おばあちゃん犬のシズカと暮らしてます。

POSTED COMMENT

  1. 葉桜 より:

    こんばんは~。
    著者の本は未読ですが、たまたま今日の読売夕刊で前作が紹介されていて
    すごい偶然!と感じました。主人公よりヒロインがすばらしい…と書かれて
    いましたね。

    買い物はいいですよねえ。スーパー、蚤の市、デパートのぶらぶら。
    見るだけでも楽しいですね。経済活動の復活を嬉しく感じます。

    マスクを外して堂々と歩ける日が早く来ますように。

    • ヒルネ より:

      葉桜さんへ
      こんばんわ(^o^)「横道世之介」は彼と関わった人は努力が報われて、幸運をつかむ・・・という現代のお伽噺でもあります。
      世之介自身はパッと見たところ、気弱そうな兄ちゃんですぐに舐められちゃうところが、愛らしいです。
      前作のヒロインは勝ち気でガッツのあるお嬢さんで魅力がありましたが、
      今度の作品のヤンママ桜子さんも気が強くて魅力的でした。
      世之介は気の強い女性と相性が良いみたいです(笑)

      買い物の楽しさを描写する文章がとてもリアルで、著者も買い物が絶対好きなんだろうなと確信しました。
      じっくり売り場を見るのは楽しいですよね。
      京都の蚤の市やアンティークショップに行くのが今年の楽しみです。

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