本が好き

感想【二人の天魔王】信長は可哀想なダメ男だった?

明石散人の信長論、期待以上に面白い

明石散人×高橋克彦の「日本史鑑定」がめっちゃ面白かったので、
明石散人の本を続けて読みたくなった。

「日本史鑑定」浦島太郎伝説は史実?不死身人間だった?奇天烈なロマン「日本史鑑定」 緊急時宣言で図書館もお休みになった。 手元の本を引っ張り出して読んでみる。 「日本史鑑定」 小...

といいつつ、明石散人の本って当たり外れが大きいのだ。

「信長」なら日本史好きには鉄板でしょう。
ハズレはないはず・・・?と読み始めたら

ヒルネ
ヒルネ
期待以上に面白かった!

「信長」を評するとき、こんな言葉が浮かんでくる。

「先見の明がある」
「常識に囚われない戦略がある」
「スピードがある」

独自の戦略で動く”天才武将”
誰も彼の思想を理解できないので
”恐怖の大魔王”である。

ヒルネ
ヒルネ
信長のイメージといえばこれですよね

でも、実は信長はこんなデキる武将ではないらしい。
信長はお手本の武将を演じていた。
真似っこである。

明石散人はそう主張する。

すると、信長のお手本は誰なのか。
それは・・・
室町時代六代将軍「足利義教」だ。

僧侶からクジ引きで将軍に選ばれ、
苛烈な政策で南北朝を統一。
めざましい勢いで室町幕府を拡大したが、
最期は部下に惨殺される。

最期も信長にそっくりである。

 

明石散人は、足利義教こそ天才で、
信長は二流のコピーだと断言。
ふーん。そこまで言っちゃうか。
ヒルネ
ヒルネ
足利義教がモデルという説は
井沢元彦も唱えている

井沢元彦は「逆説の日本史10」で、
信長の手本は足利義教としつつ、
信長はさらに独自の戦略をもった天才と称えている。

それがさ・・・
明石散人は足利義教は天才だが、
信長はコピーの二流品とバッサリ切り捨てた。

ヒルネ
ヒルネ
信長=二流なんて、どうして?!

タイトル2人の天魔王とは
足利義教&信長のことだけど、
2人の格は違うってことか・・・。

そして、ここからスタートする
信長の悪口オンパレードが面白いのだ。

まずは、弟殺しの真相について。

信長の伝記では、信長は正当な嫡男だったと書かれているけど
それは嘘・・・という説。
通説では、父の死後弟「信行」が当主の座を狙ってきたので、
死病を装い見舞いに来た「信行」を殺したとなっているが・・・

正当な嫡男を殺して成り上がり?

明石散人は、弟「信行」こそが嫡男だったと指摘。
最初は「嘘やろ?」と思いつつも
「父親の葬儀に呼ばれなかった根拠」など
説得力のある分析にそうかもしれないと思えてくる。
つまり、信長は嫡男を殺して
当主の座を乗っ取った。
実力でのし上がった下克上の申し子
なんですね。

桶狭間は降伏をよそおった「だまし討ち」

信長といえば、奇跡の戦「桶狭間の戦い」
なのに。
明石散人はあれは「だまし討ち」だという。

今川義元に降伏すると嘘をつき
陣中に入り、首を獲った。

ヒルネ
ヒルネ
そ、そんな殺生な!!

と思ったけど、すごく納得。
今川義元があんなに無防備だったのはなぜか?
信長が少数で陣中まで入り込めた理由は?
そこを追究していくと、
明石散人説がもっとも説得力がある。

信長は、裏切り上手だったのだ。

お市とは近親相姦だった

若かりし頃の信長の奇矯な振る舞いは
「うつけ」「たわけ」と評されていた。

「たわけ」は美濃のみで言われていた悪口だが、
「たわけ」には「みだらな通婚」という意味がある。
ずばり近親相姦を指すらしい。
当時から「お市」との関係は噂だったのだ。

明石説では、茶々は信長とお市の娘だと推測。
秀吉が茶々に執着したのも、最も濃い血筋だから。

ヒルネ
ヒルネ
「たわけ」と「うつけ」を伝記で厳密に書き分けてるいるあたり、
明石説の読みは正しい・・・・?

足利義昭に手玉にとられていた

15代将軍・足利義昭とは当初は良好な関係だった。
年上の義昭から「(信長を)父とも思う」と言われ、
手綱が甘くなり好き放題された。

明石散人の読みでは、信長が賢ければ
義昭をきちんとコントロールできたはず。
田舎武将の論理で、義昭の面子を踏みにじる扱いを多々おこなったため
義昭の反乱につながり、鎮圧に余計なエネルギーを使うことになった。

義昭の反乱は信長のミスである。

信長は優柔不断で、戦の詰めが甘い

姉川の戦いにしろ、
長篠の戦いにしろ、
戦の詰めが甘い!・・・と明石散人は指摘。
信長は優柔不断だったらしい。

手本にした足利義教なら
敵の大将を戦後すぐに処刑しているが
信長の場合詰めが甘く、捕らえるまでに時間がかかっている。

そう言われると、確かにそうかも。

部下・同盟者から馬鹿にされていた?

そして、これが一番の驚き。

明智光秀も、秀吉も
徳川家康も、実は信長を馬鹿にしていた。

「出来の悪い上司だぜ」と思いつつ、
チャンスがあれば信長を殺し、
天下を獲ろうと待っていたのだ。

えー!!

ヒルネ
ヒルネ
信長の部下たちは、信長を尊敬しつつ
畏れていたんじゃ?

光秀も秀吉も、徳川家康も
信長のことを実は馬鹿にしていたなんて・・・?

視点が変わると、信長って裸の王様だったのか。
なんか可哀想になってきた。

「本能寺の変」真相は?

そうなると、本能寺の変で議論になっている
光秀の動機も絞られてくる。

光秀が本能寺の変を起こしたのは
天下を獲るチャンスだったから。

恨みという小さな動機じゃなく、
信長と嫡男信忠を殺す最大のチャンスだったから。

光秀はずっと天下を狙ってきたのだ。

明石散人の分析では、
光秀の方が武将として
信長より優れており、天下を狙うは当然。

本能寺の変で、光秀はきちんと野望を叶えたのだ。

まぁ、同じく天下を狙っていた秀吉に負けちゃうんですがね。
秀吉も中国攻めが終わったら、
信長を滅ぼすつもりだったと明石散人は推測しているのが面白い。

ちなみに、「光秀」と「秀吉」は江戸時代、
庶民に大人気の武将
だったそう。
逆に「信長」はまったく人気がなかったそうな。
近年の「信長」人気は、第二次世界大戦後に萬屋錦之介の映画でかっこいい信長を演じた映画から起こったブームだそう。知らなかった。
「光秀」は裏切り者としてずっと嫌われていたと思っていたけど、
人気者だったとは意外です。

時代によって、ヒーローも移り変わるんだな。

 

信長の真の姿を知って

信長=天才肌の武将と思っていたけど、
現実は優柔不断で詰めが甘く、
部下に馬鹿にされていた。
そして、部下に寝首をかかれて死んじゃった。

そう思うと、不憫というか萌えてきた。

明石散人が信長の悪口を書きながら
「僕は信長が好きですよ」と何度もフォローする気持ち、分かります。

わたしは完璧な天才より、ちょっとダメな男に愛を感じるタイプだった。

 

最期に・・・小松さんって誰やねん?

この本、明石散人と小松さんが対話しながら、
信長の謎を解き明かすスタイルで進む。

読みやすいんだけど、最期まで分からないのが

ヒルネ
ヒルネ
小松さんって誰?

本を隅から隅まで読んだけど、
小松さんが誰だか分からない。
幻の人間?

会話の様子だと、明石散人と同年代で
歴史の造詣も深い男性だと思われるんですが・・・?

増補版の単行本なのに、
小松さんの説明がない
なぜに。
それが一番の謎だよ、明石先生!

小松さんにはモヤモヤするけど、
歴史好きにはめちゃ面白い本だった。
おすすめです。 

ABOUT ME
ヒルネ
ただいまセミリタイア中。 やりかったことをすることで、自分のこれからを模索中。 カゴ編み、ひとりめしを研究中。おばあちゃん犬のシズカと暮らしてます。

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