樋口毅宏氏の「にっほんのセックス」がめちゃくちゃ面白かった。
そして、彼と奥さん「三輪記子サン」の取材記事がまた面白かった。
次は、ふたりの日常のやりとりを読んでみたい。
ということで、「おっぱいがほしい」を読んでみた。
目次
無頼派作家も悲鳴
「子育てって、こんなに大変なの?」
樋口家は現在妻の三輪記子さんが弁護士としてバリバリ働き、
夫が家で子育てをメインで担当しつつ、執筆活動中。
奥さんは出張・外出で忙しいから、ワンオペ子育ての日も多い。
怒濤の日々から絞り出されるボヤキが
切羽詰まっていて、面白すぎる。
僕と妻は、我が家でいちばん偉い王様に仕える奴隷だ
現代の愛の奴隷・・・(笑)
樋口託児所、二十四時間年中無休のブラック企業
24時間無休・・・(T_T)
親業ってそうだよなぁ。
……みんな、こんな大変なことをしてきたの?
こんなに苦労して子供を育ててきたのに、
それでも威張ったりしないんだ?
悲鳴のようなこの言葉。
こうやって、みんな親に育ててもらったんだよなぁ。
それでいて、我が子へのあふれる愛情を隠さないのもいい。
一文が笑っている。とにかく、一文が可愛い。
自分の中にこんなにも何かに対して、
「可愛い」と思う感情があったなんて、
この子が生まれるまで知らなかった。
何気なく書いてるけど、
じわじわ沁みてきて、もらい泣きしてしまった。
パパになって気づいた「こんな社会変だ。」
自分の家の子育ての大変さから、
さらに目を向けて
「ワンオペ子育てのママ」や
「保育士さん」の大変さにも
目を向けてモノ申している。
さすが無頼派作家。
出版記念のインタビューでもこう語っている。
男の育児日記『おっぱいがほしい!』
著者・樋口毅宏さんが吼える「こんな社会は変だ!」【後編】
樋口:保育士さんというのは、本当に、尊い仕事だと思います。
保育士さん一人当たりで、いったい何人のちっちゃい子たちの面倒、
お世話をしているんだって思うと、自分にはできないなって。
なのに「誰にでもできる仕事だから給料が安いんだ」とか言う輩がいるんです。
堀江貴文さんね。
・・・・かっこいい。もっと言ってやれ!
樋口:誰にでもできるというなら、1時間でもやってみなさいって。
まずは一対一から、ミルクをあげたり、泣いたらあやしたり、
オムツ取り替えたり、やってみなさい。でもだからといって、「結婚していない人は人間として未熟だ」とか、
「親になったことのない人は人として成長していない」
とか思ったりしたら、それは慢心というものですよ。
育児の大変さをカラダで体験しつつ、
子育て至上主義でもないとことが素敵や。
それでも、やっぱり育児って大変だよね。
パパ側からの声が少しずつでも増えていけば
社会も少しずつ少しずつ動いていくんじゃなかろうか。
奥さんのこと、ここまで書いて大丈夫?
『おっぱいがほしい!』は、泣かせる育児日記・・・だけじゃない。
樋口:『おっぱいがほしい!』は育児日記に見せかけた、
妻への悪態本ですから。
悪態がまた面白い。
「三輪記子ヤリ〇〇伝説」では、
妻の昔の彼氏と会って、
妻の絶倫ぶりを聞かされたとか・・・(笑)
絶倫という言葉は男性専用かと思ってた。
女性にも使えるんだ・・・(笑)
「三輪記子暴走日記」で、
「号泣しながら、離婚する!手首切り落とす!親権あげる!と恐喝される」など
驚きの言葉が並んでいる。
ここまで書いて大丈夫?とドキドキしつつ読みました。
いちおう三輪さんに事前に原稿を送り、
チェックできるようにしていたそうですが、
三輪さんは一度もNGを出さなかったそう。
奥さま三輪さんも太っ腹・・・。
腹が据わってて、
かっこいいな。
それにね、樋口さんが奥さんを
めっちゃ好きなのがバレバレ。
妻のワルクチを書き連ねながら、
行間から「好き」があふれてる。
こんなめちゃくちゃ大変な奥さんに
つきあって、愛せるのは自分だけやで。
・・・と思っているのがもう
聞こえてくるんだ。
いいなぁ。
こういう日記、自虐的でありつつ、
実は素直すぎる。
このままどんどん熟成が進めば、
檀一雄の「家宅の人」、
島尾敏雄の「死の棘」みたいな
怖さの中に笑いがあり、夫婦の不思議がある
小説が生まれてくるのでは・・・。
ひとりの読者として、お待ちしています。
樋口さんの本、次は何を読もうかな
奥さんと付き合うきっかけになった
タモリ論も読んでみたいし・・・
子育ての妄想から生まれた
パパ同士の恋愛を描いた
「東京パパ友ラブストーリー」も読みたい。