本が好き

【感想】「セミ」ショーン・タン オトナのためのニヒルな童話 セミは誰のこと?

目次

セミ おはなしする
ニンゲンにもわかるおはなし

Twitterで話題の絵本「セミ」
つぶらなセミの瞳に惹かれた。

セミ
ショーン・タン/岸本 佐知子 河出書房新社 2019年05月14日
売り上げランキング :

by ヨメレバ

 

セミは会社で働く。
欠勤なし。
ミスなく働くけど、昇進なし。

でも、セミは
ニンゲンにいじめられる(T_T)

淡々とツライ。

狭い世界のなかで生きるセミ。

セミには生きてて
良かったと思うことがあるのかな。

映画「ドリーム」の中で
差別されながら働く
黒人女性たちを思いだした。

映画では才能のある彼女たちの貢献で
待遇が少しずつ改善したけれど、
「セミ」はどうなるんだろう。

17ねんめ。セミ ていねん。

行き場所のなくなったセミは
屋上に立ちます。

もしや、飛び降り自殺・・・・(>_<)
心配になってページをめくると・・・

ヒルネ
ヒルネ
あ!
背中がパカッと割れた!

ここから先はネタバレになるので
詳しく書けない。

ぜひ続きを読んで欲しい。

最後の文だけ書きだしてみる。

ときどき ニンゲンのこと かんがえる。
わらいが とまらない。

セミはいま笑っている。
わたしも嬉しい。

セミ は誰のこと?

最初に読んだ時、
セミ=社畜だと思った。

こんな風に縛られている
会社員はたくさんいる。

その次に、
ドリームの「黒人女性」を思いだした。

翻訳者・岸本佐知子さんのツイートを読むと、
ショーン・タンが描くのは
移民をはじめとする”はじっこ”の人々。

”はじっこ”の人は
わたしかもしれないし、
あなたかもしれない。

そして、”はじっこ”の人を
無意識にいじめてるのも
わたしかもしれない。

短いお話なのだけど、
素晴らしい翻訳のチカラもあって
何度読んでも
新しい考えが湧いてくる。

”はじっこ”の人に、
「セミ」のようなラストが訪れますように。

フィフティピープル 50人の痛くて、おかしくて、悲しくて、愛しいハナシ。50人分の「あやとり」ドラマ。つながる愉しみ。 「フィフティピープル」は 50人分のドラマが詰まった短編小説集。 韓国の若手作...
ABOUT ME
ヒルネ
ただいまセミリタイア中。 やりかったことをすることで、自分のこれからを模索中。 カゴ編み、ひとりめしを研究中。おばあちゃん犬のシズカと暮らしてます。

POSTED COMMENT

  1. けーしん より:

    いじめより、端っこでも、いつかは足枷から解放され、カラフルの森に飛んでいける と背中を教えてくれた一冊でした。(^^)

    • ヒルネ より:

      けーしんさん、初めまして。コメントありがとうございます。
      ラストまで辛い状況が続いただけに、ラストシーンは半端ない開放感がありましたよね(^^)
      絵本ならではの脳裏に残るビジュアルでした。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です