本が好き

「蜜蜂と遠雷」恩田陸 天才ピアニストたちの凄まじい進化の目撃者になる。

目次

ピアノコンクールで生まれる「奇跡」に
立ち会う喜び

コンクールは、自らとの闘いである。

自分のベストの演奏ができるかではなく、
ライバルの演奏を聴いて、
さらに演奏を進化させるピアニストが残る。

このピアノコンクールで優勝するのは誰か。

優勝者を予想しながら読む。
最後まで、ピアノから目が離せない。

ヒルネ
ヒルネ
ちなみに、わたしの優勝予想は外れました(^^)

天才ピアニスト3人+アマチュアピアニスト1人
みんな魅力的で、誰が優勝してもおかしくない。

1人目の天才は、野生的な演奏をする少年。
2人目は、かつての天才少女ピアニスト。

「元・天才少女」
5歳で演奏会を開いた、伝説の天才少女ピアニスト。
13歳で母が亡くなり、ピアノが弾けなくなる。
演奏会を直前に中止し、そのまま音楽界から離れた。
現在は、音楽大学に在学中。
学長への恩返しで渋々コンクールに出場。
性格は天然でおっとりしているが、
演奏時は「小さな体に神が降りてくる」。

映画では、松岡茉優が演じる。
予告を観ると、亜夜になりきってる。

さて3人目の天才は、
エキゾチックな魅力をもつピアニスト。

マサル・カルロス・レヴィ・アナトール 19歳

日系三世のペルー人の母と
フランス人の貴族の血筋の父を持つ。
貴公子のようなルックスから、
「ジュリアードの王子様」と呼ばれる。
完璧な技術と音楽性を備える優勝候補。

少年時代に日本で暮らしたことがあり、
亜夜が通うピアノ教室に一緒に連れられ
ピアノに初めて出会う。

このコンクールで、亜夜に再会。
マサルは淡い恋心を抱きつつ、優勝を狙う。

映画のキャストは、森崎ウィン。
マサル=濃い外国人顔を想像しながら
読んだので、ちょっと予想外・・・。
演技でマサルらしさが出てくるのかな。

天才3人に加えて、
異色のアマチュアピアニストの存在も重要だ。

「生活者の音楽」をモットーに
異色の演奏で、1次予選を突破。

映画では、松坂桃李が演じる。
この配役も意外。
原作を読むと、大人しいルックスの
「ほんわかパパ」みたいな人を想像していた。

この4人の心の動きを中心に
コンクールは進む。

ベストを尽くした4人の演奏は
甲乙つけがたく、
全員を応援してしまう。

誰が優勝してもおかしくない。

結末はネタバレになるから書きません。

あ、でも1つだけ。
高島明石のラストのエピソードは
予想外で、嬉しい驚きでした。

カデンツァ(即興的な自由演奏)を初めて知った

2次予選での課題曲は、
宮沢賢治をモチーフにした現代曲「春と修羅」

この現代曲には「カデンツァ」の演奏部分が含まれる。
カデンツァの演奏は3次予選に進めるか否かの分かれ道だった。

カデンツァとは、独奏協奏曲やオペラ等のアリアで、
独奏楽器や独唱者がオーケストラの伴奏を伴わずに
自由に即興的な演奏・歌唱をする部分のことである。

作曲者が、演奏者に対して
「あなたの感性で好きなメロディで弾きなよ」
と「白紙委任」してくるなんて・・・。

そんな「白紙委任状」がコンクールで
設定されているのも予想外でした。

「春と修羅」は現代曲のため、前例がない。
今回のコンクールでピアニストは
「自分の宮沢賢治」を弾かなければならない。

ヒルネ
ヒルネ
演奏の他に、
作曲も求められるなんて、
ハードル高すぎやん・・・。

この「カデンツァ」は、
3次予選に進む重要なカギになる。

そして、それぞれの演奏を描き分ける
恩田さんの文章が
ピアノのように流麗で、目に心地よい。

クラシックを聴いて、
こんな風に映像が思い浮かぶなら、
聴くのが愉しいだろうな・・・。
めちゃくちゃ羨ましい。

私はというと、
クラシックは好きだけど、
聴いていても
映像は思い浮かばない。

映像が思い浮かぶ「耳ヂカラ」が欲しいなぁ。

そんなことも思う「蜜蜂と遠雷」でした。

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ヒルネ
ただいまセミリタイア中。 やりかったことをすることで、自分のこれからを模索中。 カゴ編み、ひとりめしを研究中。おばあちゃん犬のシズカと暮らしてます。

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