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曜変天目と聞くと、血が騒ぐ
曜変天目茶碗は、世界で4つしかない。
それだけ珍しいお茶碗なので、
滅多に拝むチャンスがないけれど、
2019年は「曜変天目」が3碗同時公開される。
奈良国立博物館、
MIHOミュージアム、
静嘉堂文庫美術館で
曜変天目が展示される。
これは観にいくぞ!
まずは、滋賀県MIHOミュージアムに
はるばる行ってきました。
MIHOミュージアムは、龍光院の曜変天目
龍光院の曜変天目は、
国宝の3椀のうち
最も静かで味わい深い、
幽玄の美しさがある
と評価されている。
わくわくしながら、
特別ブースの列に並ぶ。
間近で観る
ガラス越しの曜変天目。
美術館の暗がりのなかで、
小さな青い宇宙が輝いている。
じーっと見つめると
小さな青い星が瞬くように光っていた。
小さな手にもおさまりそうな、
小ぶりなお茶碗だった。
(写真は美術館のHPからお借りしました)
小さな青い宇宙をしっかり脳裏に焼き付けた。
堪能した。
龍光院は、拝観や特別公開などは一切行わないため
今回は貴重なチャンス。
輝きがゆらゆらと動いて
生きているみたいだった
心惹かれる宝物がいくつもあった
油滴天目と天目台もお揃いで鑑賞できる
(写真はパンフレットからお借りしました)
油滴天目と天目台が隣に並んで、展示されていた。
油滴もツヤツヤと輝き、
今まさに
油滴が垂れたような美しさ。
螺鈿作りの天目台との組み合わせは
ツヤツヤの競演だ。
知らず知らず、目が奪われる。
津田宗及の竹茶杓がツヤツヤひかる
千利休と同時代の茶人、津田宗及のお茶杓。
(写真はパンフレットからお借りしました)
茶杓全体がツヤツヤ光っていました。
光を跳ね返す艶におどろいた。
高級な茶杓ほど、
年月を経ると竹に艶が出て光る
と聞いたことがある。
桃山時代からの“艶”は一見の価値あり。
なんと!4碗目の曜変天目が観られる
世界に現存する曜変天目は4碗。
そのうち3碗が国宝で、1碗は重要文化財。
その重要文化財の曜変天目は
MIHOミュージアム所蔵なのだ。
常設展示の「ペルシャ」ゾーンで、間近でゆっくり鑑賞できる。
油滴天目か?
議論が分かれるお茶碗らしい。
このお茶碗は、
小さな光が瞬く星空のようだった。
龍光院の曜変天目が青い星雲だとしたら、
このお茶碗はさらに小さな星が
びっしり瞬く星空のようだった。
曜変天目といっても、
お茶碗の表情はそれぞれ違う。
2碗も観た幸運な1日だった
なぜ曜変天目にこころ惹かれるのか
輝きが壮絶に綺麗だから。
小さな茶碗の中に「別世界」があるから。
・・・いろいろ考える。
わたしが惹かれる理由は
奇跡が今も現存するから
遠いむかしに奇跡があった。
それが今まで大事に守られてきた。
奇跡は今も変わらず輝いている。
だから、曜変天目に心惹かれるのだ。
MIHOミュージアムは、現代の“桃源郷”らしい
曜変天目のことばかり書いていたけれど、
MIHOミュージアム自体が
なんとも不思議な美術館だ。
ルーブルのガラスピラミッドの設計者が
桃源郷をイメージして設計した
滋賀県の石山寺から、バスで50分。
世間から遠く離れた山の中に
美術館は存在する。
美術館の入り口から、
本館までも独特な道になっている。
テクテクと歩いて行くと、
こんなところに
トンネル・・・?
まるで、冥界への入り口のような・・・。
はじめてだとちょっとドキドキする。
トンネルの中は
心地よいほの暗さ。
意外とこの空間が気持ちよい。
「産道」を通って
生まれる前の
赤ちゃんみたいな気持ち。
「産道」を脱けると、
やっとゴールが見えてくる。
あら、何か不思議な美術館が見えてきた。
ルーブル美術館ガラスのピラミッドで
有名な中国系アメリカ人のI.M.ペイ氏が
設計したそう。
ガラスの屋根から
光が柔らかく降り注ぐ。
ベージュの大理石の館内は
天井が高く、
不思議に心地よい。
龍光院を撮影した写真も展示されていた。
ここでベンチに座ってくつろげる。
中庭には、現代的な石庭も。
新緑と苔の緑がまぶしい。
カフェテラスからの眺望も素晴らしい
新緑の季節は窓からの眺めも素晴らしい。
向かいの山の不思議な建物が
いつも気になる。
宗教法人の美術館だから、
あれは、祭殿かな・・・?
ゆったりとしたカフェテラス。
思い思いにくつろぐ。
季節ごとにお菓子も変わる。
関西では珍しい餡巻きタイプの桜餅。
塩漬けの葉との
相性もばっちり。
美味しかった。
居心地がよくて、
ずーっと居たくなるけれど、
そろそろ帰る時間が来た。
桃源郷からの帰り道もトンネルを通る
さて、桃源郷から現世に戻る入り口です。
このトンネル、ほんとに居心地が良くて、
ずーっと居たくなる。
トンネルの向こうは、光輝く世界が待ってました。
戻りましょう。
MIHOミュージアムへのアクセス
MIHOミュージアムに行くには、
JR石山駅から、バスで50分。
かなり遠いけれど、興味のある展示なら
行く価値はある桃源郷だ。
また何か面白い展示があれば
旅のつもりで再訪したい。